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  1. 熊本県議会 1990-06-01
    06月20日-06号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成 2年 6月 定例会┌──────────────────┐│  第 六 号(六月二十日)    │└──────────────────┘ 平 成 二 年  熊本県議会六月定例会会議録    第六号──────────────────────────平成二年六月二十日(水曜日)   ────────────────────   議事日程 第六号  平成二年六月二十日(水曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第二 委員会に付託(第一号から第十八号まで) 第三 委員会に付託(請願 陳情) 第四 休会の議決   ────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 日程第二 委員会に付託(第一号から第十八号まで) 日程第三 委員会に付託(請願 陳情) 日程第四 休会の議決      ───────○───────出席議員(五十二名)                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 松 村   昭 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 岩 下 榮 一 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 山 本 秀 久 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 金 子 康 男 君                 米 原 賢 士 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 水 田 伸 三 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(二名)                 大 西 靖 一 君                 馬 場 三 則 君   ────────────────────説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   板 倉 敏 和 君          企画開発部長 飯 原 一 樹 君          福祉生活部長 東 瀬 偉 一 君          衛生部長   星 子   亘 君          環境公害部長 佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     東 坂   力 君          農政部長   木 村 剛 勝 君          林務水産部長 木 村 幸次郎 君          土木部長   杉 浦 健 次 君          公営企業          管理者    小 澤   豪 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    松 村 敏 人 君          警察本部長  村 井   温 君          人事委員会          事務局長   中 島 伸 之 君          監査委員   野 口   浩 君   ────────────────────事務局職員出席者          事務局長   松 見 廣 海          事務局次長  中 島 太 白          議事課長   清 塘 英 之          議事課長補佐 宮 﨑 博 次          主事     小 池 二 郎      ───────○───────  午前十時三分開議 ○副議長(鏡昭二君) これより本日の会議を開きます。      ───────○─────── △日程第一 一般質問 ○副議長(鏡昭二君) 日程に従いまして、日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 大仁田貞夫君。  〔大仁田貞夫君登壇〕(拍手) ◆(大仁田貞夫君) 玉名市選出の自由民主党・大仁田貞夫でございます。本日は一般質問の最終日に当たり、先生方におかれましては大変お疲れのことと思いますが、しばらくのほどおつき合いいただきたいと思います。 それでは、早速質問に入らせていただきます。 まず最初に、文化行政についてでございますが、知事は、県政を運営していくに当たって基本的な考え方を、平成二年三月の定例議会における知事説明要旨の中において明確に説明されました。「県政をお預かりして足掛け八年目、二期目の最終年という取りあえずの節目を迎えるわけでございますが、その間微力ではありますが、」「問題意識を持ちつつ、かねがね申しております熊本をあらゆる分野で日本の将来像を明示する一つのモデルになるような存在にしたい、そう願ってさまざまな角度から県勢の浮揚に努めて参」ったと説明され、その際、基本理念になるものはみどりであり、知事就任以来七年間一貫して追求してまいられたわけであります。知事のこの基本理念については、全国各地で新聞、雑誌その他マスコミ、報道関係でも、賛同のみならず高い評価と共鳴を得ているわけでございます。 この説明の中で、知事の「取りあえずの節目を迎える」という発言が、新聞各社、知事三期目への意欲ということで一斉に報道がなされました。県民各位の受け取り方は、既に三期目への意思表示と受け取った人も多いのではないかと感じております。私自身、県民のため引き続き県政のかじ取りを続けていただくことを望んでいる者の一人であります。 ところで、知事は、今年の初め西日本新聞紙上で「私の文化行政論」を展開され、東京一極集中型から地方分権へという、知事の崇高な基本理念に沿った整然とした理論の展開でありまして、大変感銘して拝読いたした次第でございます。「質の高い、国際的にも将来的にも誇れる文化を創造するためには、東京一極集中から生まれる東京文化だけでは薄っぺらでどうしようもないのであって、個性溢(あふ)れる地域地域の文化のぶつかりあいから生まれる国民文化の創造こそが貴重なことだ」と申され、「文化を振興するためには、思い切った文化予算の増額」をすること「も必要で」あろうが、「抜本的には何と言っても現在の東京一極集中型のわが国の文化状況を是正することが最も基本的なことだ」と述べられております。 知事におかれては、田園文化圏の創造という遠大な構想のもとに文化行政を着々と進められ、全国でもユニークな熊本県文化振興基本条例の制定、また昨年は、文化行政を進めていくに当たっての指針として、熊本県文化振興基本方針を策定されました。 今後、この文化振興基本方針に沿って、県民の自主的文化活動の発展を促し、二十一世紀を展望した長期的、継続的な文化振興施策を進められるわけですが、知事の文化行政に対する基本的なお考え方をいま一度お聞かせいただきたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 文化行政に係る基本的な考え方についてのお尋ねでございましたが、今日我が国は、経済的には大きな発展を遂げてきたにもかかわらず、欧米先進諸国に比べますとまだまだ文化力には相当の開きがあると認識をいたしております。世界に通用するような国民文化を創造していくためには、何よりも各地域における個性的な文化の振興が肝要であって、地域の文化が活発であって初めて国全体の文化も高まるものであると考えております。 本県では、現在魅力のある田園文化圏の創造を目指した県土づくりを進めておりますが、文化の振興は、産業経済の振興とともに、この目標を実現していく上で欠かすことができないものであり、今日の高度情報化、成熟化、国際化などといった大きな時代の流れを的確につかみながら、さらに本県の持つ歴史や伝統を踏まえ、地域ならではの固有の文化をしっかりと築いていくということが大事なことであると考えております。 そうした考えのもとに文化振興基本条例を制定をし、それに基づく文化振興基本方針の策定を行ってきたところでございまして、今後の県行政の運営に当たりましては、文化振興基本方針に基づいて、文化事業など直接的な文化振興施策だけでなく、県行政のあらゆる分野にも常に文化的な視点を取り入れて、地域の独自性と開かれた国際性をあわせ持った地域社会の創造を目指してまいりたいと思っております。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) 知事の文化行政に対する基本的な考えをお聞きしましたが、それでは次に、企画開発部長に、基本方針に基づき文化振興施策を展開するに当たって、具体的にどのようなことに重点を置いて進められているのか、まず、本年度分も含めて今後の施策の展開についてお尋ねいたしたいと思います。 中でも市町村文化施設についてでありますが、先日アートポリス参加プロジェクト第一号の熊本北警察署の新庁舎が完成いたしました。大変興味を引く建物で、正面ロビーも広々として、今までの警察のイメージが一変したような感じがしました。現在このくまもとアートポリスに参加をしているプロジェクトは三十四あるとのことですが、私の地元玉名市でも歴史資料館アートポリスに参加し、基本構想を策定中であると聞いております。 玉名市は、古代から現代に至るまで文化財の宝庫であり、菊池川の果たした水運の役割を歴史的に位置づけ、その繁栄を究明し、さらに近世以降における肥後米の出荷港の形成にも触れる歴史資料館としてユニークな価値のあるものになると期待しております。 こうした例に見られますとおり、市町村の地域に根差した独自の文化施設の整備を進めることは、文化の分野における県土の均衡ある発展のためにも必要であります。このような施設の整備に対する県の支援措置をお聞かせください。 また、市町村においては、文化施設の運営に当たってのノーハウを必ずしも十分に備えておらず、県が適切な助言を行っていくことが必要です。市町村が文化施設をより効果的に運営できますよう、県はどのような施策を講じていくのか、お尋ねをいたします。 さらに、文化行政の三番目としてお尋ねいたしますのは、去る昭和五十六年度国土庁による全国ただ一カ所指定の地方都市整備パイロット事業、すなわち伝統的文化都市環境保存地区整備として実施した玉名市裏川地区の水際緑化都市モデル地区は、市民だけでなく多くの県民の方々の目にとまる場所となっております。去る二月十三日のくまもと景観奨励賞に選ばれた地区でもあり、知事も早速、去る三月八日現地を視察され、残された下流の部分についても、県として全面的な援助、協力をしたい旨の発言をいただき、地元で大変な期待が生まれております。まだ具体的な計画はできていないと思いますが、県の管轄区域内でもあり、温かい御配慮をお願いするわけです。県において今後このことについてどのような対応をする計画であるのか、お尋ねをいたします。 最後に、秋丸眼鏡橋についてでありますが、この秋丸の眼鏡橋は、県道玉名山鹿線の玉名市高瀬にあり、先ほど質問申し上げました裏川水際緑地公園内の人工運河にかかっている橋で、玉名市指定の重要文化財となっております。その下流三百メートルのところに県指定の重要文化財高瀬眼鏡橋があります。この秋丸眼鏡橋は、橋の長さが十二メートル、その幅が六メートル六十センチ、そのうち眼鏡橋部分三メートル七十五センチの幅であり、これは、橋裏の天井には、天保三年、一八三二年二月、時の坂下手永惣庄屋の斉藤形右衛門、井樋方の小山右兵衛、根小頭の中川為助等によって築かれたことが記してあります。また、この眼鏡橋には樋門が付設してあり、水量を必要に応じて適宜増減できる調節機能を持たせてあり、このような特殊装置のある橋は極めて少なく、学術上も重要なもので、県内外から高く評価されている眼鏡橋であります。知事も、過去繰り返し文化財の保護について重視する必要を述べられております。 そこで、お聞きしておきたいと思います。玉名市と山鹿市を結ぶ主要地方道として陸上交通の重要な役割を果たしているこの玉名山鹿線の改良工事も着々と進んでおりますが、その秋丸眼鏡橋の全面改築の時期はいつごろになるのか、お尋ねをいたします。 その眼鏡橋を陸に上げてさらしもので残しても意味がありません。そこで、前の質問にも関連するわけですが、玉名市の方で、高瀬眼鏡橋の少し下流に秋丸橋を移設して、人や車の通行ができる程度の橋として架橋する構想があるようであります。また、その下流には、細川藩のお茶屋跡に、高瀬御倉や積み出し港の俵ころがしの遺跡など、歴史的に重要な施設や遺跡が残っております。県で実施されようとしております裏川水際緑地公園の中に秋丸橋の機能を残したまま移転するのは極めて価値のあることだと思うのであります。市の方でも、また文化団体や玉名市文化財専門委員の中でも大変関心のある問題でもあり、市と十分意見を交換して早急に結論を出すべき時期だと思いますが、土木部長にお尋ねをいたします。  〔企画開発部長飯原一樹君登壇〕 ◎企画開発部長(飯原一樹君) 今後の文化振興施策についてのお尋ねでございますが、昨年策定をいたしました文化振興基本方針の中で、基本施策といたしまして、文化財等文化資産の継承と発展、文化活動の促進、文化施設の整備、文化の国際交流の推進などの施策を掲げまして、それぞれ県として今後取り組むべき方向を明確に示しております。 今年度は、この基本方針を踏まえまして、教育委員会を初め関係部局においてそれぞれ施策の充実が図られております。例えば文化財関係につきましては、教育委員会におきまして、従来の保存整備事業に加えまして、新たに文化財保存整備緊急五カ年計画の策定や未指定文化遺産調査事業に取りかかっているところであります。また、県民の文化活動の促進を図るために、一昨年度から実施している県民文化祭につきましては、今年度は十月十三日から二十一日までの九日間にわたりまして、本渡市及び牛深市を中心に天草地域で開催することといたしておりまして、来年度は阿蘇地域で実施をすることといたしております。さらに、国際文化交流事業として実施をいたしております熊本国際青少年音楽フェスティバルにはアジア七カ国の青少年によりますアジアユースオーケストラが参加をいたしまして、結成後初めての合宿練習と公演を本県で行うこととなっておりまして、アジア諸国との友好を深める施策として期待をしているところでございます。そのほか、市町村文化振興についての支援も行うことといたしておりまして、地域における文化の振興のための諸事業や文化拠点の整備などについても検討を行うことといたしております。 もとより文化振興施策は、教育、地域振興、観光振興など、行政のあらゆる分野にわたるものであることから、今後とも関係部局との調整を十分に図りながら、全庁的な視点に立って総合的に推進していくことといたしております。 次に、第二点目の市町村文化施設の整備及び運営に関する県の支援についてでございますが、市町村文化施設は、地域における文化情報の提供の場であり、また文化活動の拠点でもありまして、極めて重要な役割を担うものであります。県といたしましても、関係国庫補助金地域総合整備事業債などの地方債、無利子の県貸付金として今年度創設された地域づくり推進特別資金、あるいは市町村における日本一づくり運動を推進するための県補助金などを積極的に活用して整備の促進を図るなど、今後とも適切な支援に努めていくことといたしております。また、市町村文化施設の運営にはノーハウの蓄積と人材の育成が不可欠でありまして、今年度は、専門家を派遣して各種の指導、助言を行う文化振興アドバイザー派遣事業及び県と市町村が共同して実施する文化施設ネットワーク事業、さらには市町村担当職員の研修事業を行うなど、市町村への支援措置の充実を図っているところでございます。 なお、お話にございました玉名市の歴史資料館の整備及び運営につきましては、教育委員会とも連絡をとりながら、これらの制度の活用を図るなど適切に対処していくことといたしております。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 玉名市内のことで具体的に二つお尋ねいただきました。 まず、伝統的文化都市環境保存地区整備事業で玉名市が実施されました裏川地区の下流部の扱いでございます。 御案内のように、玉名市街を流れますいわゆる都市河川の裏川は、昭和五十六年度から補助事業として局部改良工事を進めてまいりました。その工事の一つとしまして、河川のショートカットなどを行ったわけでございますが、そのショートカットによって生じました従前の河道を利用されまして、玉名市が水際緑化都市モデル事業として親水性のある公園を整備なさったものでございます。 この公園と、下流にございます先ほどお話に出てまいりました俵ころがし水際緑地公園、この間約百五十メートルでございますが、これを一体的につないで整備するのは大変有意義なことであるというふうに考えております。今後、市や地元の御意見を聞きながら本年度中に構想をまとめまして、平成三年度から河川環境整備事業として取り組んでまいりたいと思っております。 それからもう一つ、同じ裏川にございます高瀬地区の秋丸眼鏡橋でございますが、この橋は、河川の改修と道路の改良とあわせてかけかえをする予定としております。今年度は、秋丸橋の下流にございますせきを改築いたしまして、平成三年度には、迂回路を確保することとともに、周辺の用地補償の解決を図りまして、平成四年度に秋丸橋の移設、かけかえを行う予定でございます。 従前の秋丸眼鏡橋は、市の重要な文化施設というふうに承知しておりまして、玉名市と十分協議をしながら移設、復元を図ってまいりたいと考えております。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) ただいま御答弁ありがとうございました。 裏川地区の下流部分についての事業及び秋丸眼鏡橋につきましては事業に着手するというお話でございます。地元民一同楽しみにしておりますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げます。 次に、農政問題についてお尋ねいたします。 今日の農業情勢につきましては、今さら申すまでもなく、国際的には自由化の進展、国内的にはほとんどの農作物が過剰基調にある中で、消費者ニーズの多様化や消費の伸び悩みが重なって価格低迷が続き、生き残りをかけた産地間競争の激化の中にあって大きな転換を求められております。 このような状況の中で、県においては、うまい米づくりや牛肉・オレンジの自由化対策、あるいは土づくり、減農薬運動など、本県独自の各種施策を積極的に展開されているところであり、元年の農業粗生産額は推計で四千億円を上回るなど、一筋の明かりが見えてきた感がいたします。しかし、牛肉・オレンジの自由化を間近に控え、かつ米自由化への圧力が強まるなど問題も山積している中で、本日は、米の自由化の問題と阿蘇畜協の問題の二点に絞って質問させていただきます。 まず、米の自由化問題についてお尋ねをいたします。 農産物の貿易問題については、現在ガットのウルグアイ・ラウンドで交渉が進められているのを初め日米構造協議においても経済の構造的側面から問題が指摘されているといった状況にあります。農業貿易の一層の自由化の達成等を目指すガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉は、現在主要参加国の提案がほぼ出そろい、本年末の交渉期限に向けて本格的な論議が行われているところであります。 この中で、我が国は、基礎的食糧については、食糧安全保障の観点から、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得ることを、新たにガット規則に盛り込むよう主張しているところであります。しかし、農産物輸出国から異論も出ているようであり、全く予断を許さない状況にあります。また、六月初めに実施された日米構造協議に対する世論調査結果についての新聞報道によりますと、米の市場開放に反対の意向を示した人は五四%と過半数を占めておりますが、二年前に比べ七%ダウンしてきており米の市場開放に世論の動きが始まっている兆しがあると感じられます。ウルグアイ・ラウンドで我が国が主張しているように、我が国における米の重要性というものははかり知れないほど大きなものがあります。 米は、国民のカロリー供給量の約四分の一強を占めている食糧であり、また農業粗生産額の三分の一を占める基幹作物である等、国民の生活や経済上大変重要な役割を担っております。また稲作は、国土や自然環境の保全等に重要な役割を果たしているとともに、我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついており、国民全体にとって重大な関心事であります。言うなれば、米抜きにして国民生活は語れないと言っても過言ではありません。日本は、世界最大の農産物純輸入国であり、牛肉・オレンジ等に続いて米の市場開放が行われることになれば、我が国農業が大打撃を受けるだけでなく、食糧の安定的供給、国土、環境保全等にも大きな影響を及ぼすことになると危惧するものであります。 米の市場開放問題については、価格等の経済的視点からとらえるだけでなく、こうした米の多面にわたる重要性についてもっと認識を深めていくことが必要であると考えられます。このように、米の重要性ははかり知れないものがあり、米の市場開放は絶対に阻止しなければならないと考える次第であります。 先般、事の重大性にかんがみ、県農協中央会を初め農業団体から議長に対し、米の市場開放阻止の陳情があり、これを受けて、県議会においても超党派による決議を行い、国に要請すべきと考えております。米の市場開放阻止について県としてどのようにお考えになっているのか、農政部長にお尋ねをいたします。 次に、阿蘇畜産農業協同組合の問題についてお尋ねをいたします。 阿蘇畜産農業協同組合の使途不明金あるいは補助事業の執行問題等に関しては、警察への告発、会計検査院の検査あるいは農協法に基づく国の検査が実施されるなど、その成り行きが注目されております。また、本会議にも幾度となく質問にも取り上げられ、その都度県の指導のあり方を初め対応が厳しく問われてきたところであります。 ところで、今回のこの問題に限らず、過去においても農協の不祥事等が発生しておりますが、そのたびに問われるのは、やはり県の指導のあり方でありました。しかし、私は、もう少し何か根本的な問題が置き去りにされているような気がしてならないのであります。 それは何かと言いますと、役員の選任あるいは事業実施などの農協運営に対して、組合員の関心が非常に薄いということであります。農家が出資してつくった農協の運営は、組合員みずからが監視していくというのが基本的な原則だと思います。どうもその部分がおろそかにされているような気がして仕方がありません。また、運営を委託された役員も全力を挙げてその任務を全うしなければならないのは当然のことであります。農協が農家の相互扶助を最大の目的とする団体である以上、主役は農家組合員であります。その経済的、社会的地位の向上のために農協事業が行われなければなりません。しかし、阿蘇畜産農業協同組合問題、また他の問題にしても不祥事が後を絶たないということは、いろんな意味でそのような農協の自助努力が不足しているということではないでしょうか。国とか県の指導が悪いと言う前に、人任せにするのではなく、農協は企業的感覚を持ち、みずからが努力することが基本的に求められているのではないでしょうか。もちろん国や県も農協が健全に発展するように指導しなければなりません。また、農協中央会あるいは県連合会なども系統組織としてみずからに課せられた役割を十分に発揮していかなければならないのではないかと思うのであります。 今後農協を健全に育成していくためには、昭和二十二年に制定された農協法は現在にはそぐわない面もあり、長期的には法改正をも検討される必要があるのではないかと思いますが、現実には現行法制の枠内で取り組んでいくしかありません。そうして、今回の阿蘇畜産農業協同組合については、活動区域が二県にわたるため、国が監督行政庁として業務及び会計の状況を検査しておりますが、監査や役員の能力向上、職員の資質向上のための教育研修などについてはどこが行うべきか。また、そのようなことはこれまで実施されているのでしょうか。 そこで、当面は、国、県、中央会等が役割分担をして適正な農協運営のために教育研修が行われるべきだと考えるわけであります。県としてはどのように考えておられるのか、農政部長にお尋ねをいたします。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 米の自由化問題でございますが、我が国の農業の源ともいうべき水田農業は、農業という枠にとどまらず、我が国の経済、社会、文化に至るまで幅広く深くかかわり合っており、水田農業の重要性につきまして、経済、国土保全、自然環境、社会文化の面から、米を中心に述べてみたいと思います。 経済の面では、身近な本県の実情を例にとりますと、一つは、平成元年の農家数十万九千戸のうち、稲作農家数は八万八千戸と約八一%を占めています。二つ目、稲作農家を中心とした農家経済の安定が、関連産業を含め地方経済社会の安定に大きく寄与しています。ちなみに、農業生産関連産業二千七百億円、農家生活関連産業四千六百億円、合わせて七千三百億円の市場形成に貢献しており、この額は県内小売業の年間販売額の約五二%に相当いたします。 国土保全の面では、一つ、日本国土の七割が山林地帯という多雨、急峻な国土環境を維持するため、水田は地下水を涵養し、川の水をつくるという利水ダムであります。二つ目は、水田は土砂の崩壊や土壌の流出を防ぎ、このような機能を通して住民の生命、財産を保全しています。 自然環境の面では、一つは、水田は動植物の有機物の生産と分解を繰り返す環境浄化システムであります。二つ目は、水田に栽培される稲には大気浄化機能があり、温度、湿度を平準化し、気候を緩和いたします。 社会文化の面では、一つは、我が国の米の歴史は二千年以上で、文化に深くかかわり、民話、民謡、絵画、詩歌、工芸品、建造物、衣服、日用品に至るまで大きな影響を与えています。二つ目は、米は食の分野で、食文化として我が国独自の体系を維持する上で中心的な役割を果たしています。 以上、農業の中心である米が県民あるいは国民生活にいかにかかわり合いがあるかについて述べましたが、冒頭にも申し上げましたとおり、米の市場開放問題に関しては、こうしたかかわりについて県民の御理解を得ていくことが必要であると考えております。また、国際的視野から各国の農業の地域性について理解することも必要でありまして、こうした観点から見てみますと、各国ともそれぞれ固有の農業を有しており、その農業の維持発展は、その国、民族を維持し発展させていく上で極めて重要なものであると理解しております。稲作は、日本の農業の核心でありまして、日本にとっては不可欠のものであります。 米の市場開放阻止につきましては、こうした観点から、これまでも機会あるごとに国に要請してきたところでありますが、今後とも、県民のコンセンサスを得ながら、引き続き県議会、農業団体と一体となり最大限の努力をしてまいりたいと存じます。また、農業団体においても、県と歩調を合わせ、県民各層の理解が得られるよう格段の努力をこの面でも期待するものであります。 次に、阿蘇畜産農業協同組合のお尋ねでございますが、お話しのとおり、農協法では、阿蘇畜産農業協同組合の監督行政庁は国となっておりまして、昨年の十二月及び本年二月に農協検査が行われたところであります。 阿蘇畜産農業協同組合の監査、教育研修等につきましては、全国農協中央会が行うことが適当と考えられますが、実際には行われていないのが実態であります。県といたしましては、本県農業振興の観点から、阿蘇畜産農業協同組合のほか他の専門農協につきましても、適正な農協運営が図られるよう、国及び農協中央会とも十分協議しながら指導に努めることといたしますが、特に監査能力の向上あるいは役職員の資質向上を目的とする教育研修につきましては、農協教育研修センターにおいて実施できるよう、農協中央会等関係団体と協議をしてまいりたいと存じます。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) 米の自由化につきましては、事の重大性にかんがみ、先般農業団体側からも知事並びに県議会議長に対して自由化阻止についての強い要望が出されております。本議会におきましても、議会の名において再度国に対して強い要望を行うべきであると考え、関係委員会の審議を経て議会決議が行われることを望むものであります。 それから、畜協問題につきましては、今回は阿蘇畜協だけでありましたが、今後このようなことが他の団体にも起きないように十分な指導体制をとっていただきたいと思うのであります。 九州国際空港建設について、次にお尋ねいたします。 昨年五月の定例議会において、有明海の玉名寄りに国際空港を建設したらどうかという要望をいたしました。知事は「将来の展望として、本県としてもそのことを念頭に置きながら長期的課題として勉強する必要があろうかと考え」るとのお答えをいただいたわけであります。 去る五月二十一日、国土審議会九州地方開発特別委員会は、第四次全国総合開発計画に基づく二〇〇〇年を目標年次とした九州地方開発促進計画案を原案どおりに承認いたしました。その中で特に目を引いた点は、アジアとの交流拠点として九州に早急に国際空港を検討することが盛り込まれております。 この一年間の動きの中で、有明海上の構想も日一日と消え、福岡市に接する玄海灘への建設の機運が九州・山口経済同友会などでささやかれているようです。幸い、この九州国際空港建設問題は、九経連と九州知事会との間で検討委員会が発足され、九州は一つという意味で御検討がなされていけば熊本県にとって有利な結論が得られるのではないかと期待するものであります。現時点における九州国際空港建設について、知事の御所見をお尋ねいたします。 次に、九州新幹線建設についてお尋ねいたします。 現在、日米構造協議が日本政治の中心課題となり、この動きをめぐって日米間の今後の協力関係が具体化していくものと思われます。中でも、米国側から公共投資の増額について要求がなされ、我が国でもそれにこたえるため、各分野における公共投資の繰り上げ、前倒しの実施や見直し等が検討され、日米構造協議の最終報告に盛り込まれる公共投資十カ年計画の支出総額は四百兆円から四百五十兆円になるとの報道がなされていることは御承知のとおりであります。仮に四百五十兆円にすると、これを実現するには毎年の予算を増額することが必要になってきます。 五月十四日からは、最終報告に盛り込む公共投資十カ年計画策定のため、経済企画庁のヒアリングが始まりました。米国側が求めている国民生活の質の向上に重点を置いた分野への配慮を考えながら、どのような試案ができるのか注目されているところであります。 ところで、私たち熊本県にとっては、この日米構造協議がもたらす重要なものの一つとして、九州新幹線建設への影響があります。五月十八日の西日本新聞によりますと、「運輸省は十七日、日米構造協議の最終報告でまとめる公共投資十カ年計画の中に、九州新幹線鹿児島ルート、長崎ルートなど整備新幹線五線を盛り込むよう経済企画庁のヒアリングで要求し」ている旨伝えています。運輸省は、整備五線のうち、北陸、東北、九州・鹿児島ルートの三線の一兆三千五百億円を優先させ、これに可能な限り北海道、九州・長崎ルートの二線も加えるということで考えているようです。 去る五月十七日には、我が党の整備新幹線早期着工促進議員連盟は、党三役に対し整備新幹線の建設費を盛り込むよう強く働きかけておられます。これに対し、小沢幹事長は、政府に強く働きかけていく旨の姿勢を示されたようであります。これまでは、新幹線建設財源などの取り扱いは毎年政府予算編成時に政治折衝により決着されております。このため、これまで長期計画がなく、毎年が一喜一憂でありましたが、この公共投資十カ年計画の中に新幹線の建設が盛り込まれることになれば、全体の整備スケジュールに見通しがつくことになります。また国は、平成二年度予算で赤字国債依存体質を脱却し、財政再建の第一段階を達成し、平成三年度予算の概算要求基準、いわゆるシーリングの見直しを行うことに加え、日米構造協議を通して平成三年度予算の公共事業の拡充が避けられなくなっており、社会資本整備に振り向ける投資的経費については基準を緩める方向との報道もあっております。新幹線建設にとっては神風とも言えるようなこの条件の変化により、大いに期待できる面があろうかと思います。 三月議会では、企画開発部長は、熊本県内の第二今泉トンネルについて、八月にも着工が可能であるような御発言をいただきましたが、これを機会に、一日も早く本県でも本格着工のつち音が聞けるものと期待しているところであります。 そこで、このような状況を踏まえ、九州新幹線建設促進のためどのように取り組まれるか、企画開発部長にお尋ねをいたします。また、新玉名駅設置につきましては、昨年五月県議会で、鉄建公団、JR、県、市の間で設置について合意に達したとの御答弁をいただき、感謝しているところでありますが、その後変化はないでしょうか、あわせてお尋ねをいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 九州国際空港建設についてのお尋ねでございますが、御指摘がございましたように、国の長期計画である九州地方開発促進計画にも国際空港を検討することが盛り込まれておりまして、九州地域に二十四時間運用可能な国際空港設置の必要性が高まってきております。 この問題につきましては、九州各県の間でも、必要性や現空港の位置づけなどにつきましてそれぞれ意見のあるところでございますが、お話にございましたように、昨年の十月末、九州知事会と九経連で、九州における国際空港のあり方、必要性などにつきまして検討する場を設置することが合意されまして、本年三月末に検討委員会がスタートをしたところでございます。また、知事会でも、国におきまして国際空港の調査に着手するよう要望することが合意をされたところでございます。 今後、この委員会に学識経験者などで構成する専門調査委員会の設置も予定されておりますので、お尋ねにございました有明海上を含めた候補地につきましても、このような機関におきまして、専門的に客観的に技術的な観点や経済波及効果などを考慮して、科学的、合理的に判断がなされることを期待をしているところでございます。 いずれにしても、九州国際空港建設構想につきましては、長期的な課題として、九州全体の合意の形成が図られますように引き続き努力をしてまいりたいと思っております。  〔企画開発部長飯原一樹君登壇〕 ◎企画開発部長(飯原一樹君) 九州新幹線建設についてのお尋ねでございますが、九州新幹線鹿児島ルートは、九州域内の高速交通ネットワークの骨格を形成するものといたしまして、九州の一体的浮揚、発展に不可欠の交通手段としての役割を果たすものでありまして、その早期実現を目指してきたところでございます。 お話にもございましたように、国では、日米構造協議の最終報告に関連いたしまして、公共投資十カ年計画の策定作業が進められているところでございますが、新幹線整備のための最大の課題は、いかに建設財源を安定的に確保するかでございまして、八代─西鹿児島間の本格着工及び全線整備の具体的な見通しの明確化を図るためにも、この公共投資十カ年計画に新幹線建設が盛り込まれる必要があると考えているところでございます。このため、六月中旬に九州新幹線鹿児島ルート建設促進総決起大会を開催するとともに、整備新幹線建設促進総決起大会へ参加いたしまして国などへの働きかけを行っておりますが、引き続き、関係の各県などとも連携しつつ、精力的に運動を展開していくことといたしております。 次に、新玉名駅設置についてでございますが、お話にもありましたように、昨年六月に、県、建設主体である鉄建公団及び運営主体であるJR九州、地元玉名市の間で、九州新幹線の大牟田─熊本間建設に当たっては、新玉名駅を設置する旨の合意に達したところでございまして、新玉名駅実現のためにも、博多─西鹿児島間の全線整備に向けまして努力いたしていくことといたしております。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) どうもありがとうございました。 いろいろと厳しい状況ではありますが、知事におかれましては、有明海上への誘致ができますよう御尽力いただきますよう、特にお願いをいたしておきます。 それから、道路整備について三点ほどお尋ねいたします。 初めに、一般県道玉名植木線についてでありますが、この路線は、玉名市を起点とし、菊池川右岸を南下し、天水町、玉東町を経て植木町に至る地域産業、文化、経済の発展の上で重要な役割を果たしている道路であります。特に玉名市南部の大浜、滑石地区及び横島町のハウス栽培などの施設園芸作物の搬出には必要不可欠の路線であります。 現在、県では、大浜地区で菊池川に大浜橋の改築に取り組んでおられるのを初め、六田地区では区画整理事業に関連して道路整備にも取り組まれ、当地域経済の発展に大きく寄与されており、大変感謝しているところであります。しかし、この路線はまだまだ未改良区間が多く、場所によっては幅員が狭く車両の通行も多いため、通学する中学、高校生は常に危険にさらされておる状況であります。このようなことから、この路線で改良が特に必要な二カ所についてお尋ねをいたします。 第一は、小浜地区であります。この小浜地区は、菊池川の右岸に位置し、道路は堤防との兼用道路でありますが、この箇所は路線内でも特に狭く、急カーブで交通事故が多発している箇所であります。私は以前からこの箇所の整備について要望してきたところでありますが、建設省との調整等にいろいろと問題があると聞いております。しかし、地域住民はこぞってこの地区の交通事故解消と交通の円滑化を強く要望しております。この箇所の整備についてどのようなお考えか、お尋ねをいたします。 第二は、六田地区であります。この地区の区画整理事業区間については、現在歩道の整備が行われておりますが、それ以外の区間の整備計画はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。 次に、主要地方道玉名八女線の整備についてお尋ねをいたします。 当路線は、玉名市を通過する国道二百八号を起点に、一級河川繁根木川に沿い、南関町、三加和町を通る国道四百四十三号並びに主要地方道大牟田南関線及び九州縦貫高速自動車道南関インターチェンジを結ぶ県北部地方の産業開発及び経済活動の浮揚を担う重要な幹線道路でございます。この路線のうち、玉名市内の立願寺橋から大坊に至る延長約千三百メートルについては、繁根木川の堤防との兼用道路となっており、特に急カーブが多く、安全で円滑な交通の確保に大きな支障となっているところから、早急な道路改良が地元から強く要望されている区間であります。また、この区間については、国道二百八号玉名バイパスと平面交差する計画もあり、バイパスは既にルートも確定し、用地買収の段階に入っております。このため、この地域は今後の交通の利便性から公共施設等が計画され、既に玉名市民会館、玉名市勤労青少年ホーム、玉名勤労者体育館、玉名市保健センターが立地しております。また、文化行政の質問の中でも申しましたが、仮称ふるさと博物館の計画もこの地区にあり、既に用地の取得も終わり着々と進んでいる状況であります。九州新幹線鹿児島ルートの新玉名駅の予定地にも隣接し、近くに熊本県玉名事務所、玉名警察署などの公共施設があります。さらに玉名市の振興計画を見ても、この地区は今後玉名市が活性化する上で中核となるべき地区であり、各種の公共施設の将来構想の重点地区ともなる所と考えられます。 先般、市の執行部とも話し合いを持ったところですが、この地区の都市計画街路や繁根木川改修計画と関連し、玉名八女線の整備をまず決めて、その中で各種施設を配置していくことが、将来に向けて新しい景観の創造または合理的な土地利用、さらには温泉や商店街の活性化はもとより、玉名市の発展に大きくつながるという意見が一様に出ました。 ところで、立願寺橋から大坊に至る延長千三百メートルの未整備区間は、建設省が管理しております一級河川繁根木川の堤防と兼用となっている道路でありますが、県道を改良するに当たっては、どうしても河川改修と一体となった整備が必要であると考えるわけであります。そこで、この道路の整備についてどう考えておられるのか、お尋ねをいたします。 最後に、今までに質問なり要望をしてまいりましたところの玉名広域農道の第一期工区と第二期工区との間を結ぶ道路で、建設省の道路事業として整備される区間であります。 農水省の事業として施行が進められている天水町天神山を起点とし、玉名市津留を終点とする広域農道第一期工区延長九千八百八十メートルは、平成元年度までに延長七千百八十五メートルの区間が整備済みとなっております。また、玉名市溝上を起点とし、荒尾市府本を終点とする第二期工区延長一万一千五百十二メートルは、平成元年度までに延長一万百四十二メートルの整備が済み、両工区とも完成間近となっております。この第一期工区と第二期工区とを結ぶ建設省の事業区間、玉名市津留から上小田区間につきましては、県道瀬川玉東線の改良工事として既に事業に着手され、用地買収も進められており、この工事が一日も早く完成しますようお願いをいたす次第でございます。 また、菊池川に橋をかけることにより、菊池川右岸の石貫、溝上、月田地区などの土地利用計画により、当地域の振興はもとより玉名市の活性化に大きく貢献されることが期待されるわけであります。九州縦貫自動車道菊水インターチェンジとも連結され、交通の利便性や通過時間の短縮など、玉名市北部はもちろん有明工業地帯や荒尾市に至る広範囲の産業、文化、経済の発展に大きく寄与するものと、地元ではこの橋の一日も早い着手について大変期待をしているところでございます。 そこで、この橋の早期整備についてどのようにお考えなのか、以上三点について土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 三路線について道路整備の関係のお尋ねをいただきました。 まず、県道玉名植木線でございますが、このうち玉名市の小浜地区については、お話がございましたように、国が管理します一級河川菊池川の堤防と兼用道路となっております。御指摘のとおり、この付近は、幅員が狭く見通しも悪く、安全で円滑な交通を確保する上で大変な支障になっている所でございます。このことから、この区間の改良について建設省と事業の調整を進めてきたところでございますが、今回測量調査を実施することといたしました。今後は、引き続きまして事業内容の協議を進め、できる限り早い機会に工事にかかりたいと考えております。 また、この路線の玉名市六田地区につきましては、全延長五百二十メートルの全体計画を策定いたしまして、このうち六十三年度から区画整理事業区間の二百四十メートルについて工事を着手しております。本年度末完成を目標としております。残ります延長二百八十メートルにつきましても現在用地交渉を進めているところでございまして、今後とも関係者の各位の御理解と御協力をいただいて早期完成を図ってまいりたいと考えております。 次に、主要地方道玉名八女線の整備についてでございますが、これもお話がございましたように、立願寺橋から大坊までの間は、国が管理をしております一級河川の繁根木川の左岸堤防と兼用の道路になっております。したがいまして河川改修と一体的に整備するのが必要でございます。本年度から国におかれましては直轄の河川改修事業に着手する予定でございます。で、この施行計画と調整を図りながら整備をしてまいりたいというふうに考えております。 もう一つお尋ねがございました菊池川にかかわる橋の話でございますが、前回も既に御要望がありまして、この橋の建設が玉名市北部地域の振興や交通の利便性に高いウエートを占めていることは十分認識しているところでございます。ただ、相当な大事業でございますので、県道としてのルートの位置づけなど建設省と協議中でございます。今年度から調査を実施してまいりたいと考えております。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) どうも御答弁ありがとうございました。 特に、青木地区への架橋につきましては、玉名の発展に大きく結びつくはずでありますので、一日も早い着工をお願いする次第でございます。 次に、河川の改修についてお尋ねをいたします。 知事におかれましては、「熊本・明日へのシナリオ」に示されておりますように、地域経済の活性化や地域の振興に力を入れられ、着々とその成果が出ておるところであります。治水施設の整備は、地域住民の生命、財産を守ることはもちろんのこと、その地域の活性化にとって必要不可欠なものでございまして、農業の生産基盤を支えるとともに、住宅や新しい産業の立地を促進するものでございます。このことを踏まえ、繁根木川、境川及び三蔵川の河川改修についてお尋ねをいたします。 まず、繁根木川の改修でございますが、この河川は、小岱山に源を発し、三ツ川、石貫地区、そして玉名市の中心部であります富ノ尾、立願寺、岩崎地区を通過し、繁根木地区で菊池川の右岸に合流する一級河川であります。特に富ノ尾地区下流から菊池川合流点までは、温泉街、県事務所、市役所などの公共施設、また商店街が密集している玉名市の心臓部とも言える所でございます。 おかげをもちまして、菊池川合流点から立願寺橋までにつきましては改修は終えておりまして、建設省並びに県に対しまして地元を代表して御礼を申し上げます。しかしながら、この上流は未改修となっており、特に立願寺橋の直上流右岸の一帯は、少量の降雨でも浸水による交通どめ等幾多の被害を受けている状況にあります。また左岸につきましては、先ほど交通体系の整備の中で申し上げましたが、堤防が道路と兼用されている県道玉名八女線の改良促進にかかわってくる所でございます。 この区間につきましては、国の直轄区間ではありましょうが、県におかれましても、国に対し強力な要望を行い、ぜひ早急な改修促進を図っていただきますよう、玉名市民とともに強くお願いをするところでございます。土木部長に、県道の改良も含め、繁根木川の改修と今後の見通しをお尋ねいたします。 次に、二級河川境川の改修についてでございます。 昨年五月の議会におきまして質問しておりますので、多少重複する面もあろうかと思いますが、その点よろしくお願いをいたします。 境川は、菊池川右岸一帯の小岱山の南部地区と玉名市山田、築地地区と下流の小浜、滑石地区並びに岱明町の東部を流域として市西部を貫流し、有明海に注ぎ、都市機能の中心部に位置する河川であります。この河川の上流域は、玉名市の田園地域あるいは玉名温泉を擁する観光資源の宝庫でもあり、数多くの公共施設や人家が密集しております。また、JR鹿児島本線並びに国道二百八号線が横断し、交通の利便性等好条件が備わって都市化が進んでおる所でもあります。一方、下流地域の玉名平野においては、農業経営の多様化に伴うビニールハウス栽培施設、あるいは圃場整備事業の推進による排水施設の充実等で土地利用の状況は大きく変化しつつあり、雨水の地下浸透量の低下、ひいては河川への流入量の増加につながるのではないかと懸念されるものであります。特に今年は、先般の新聞紙上にも出ておりますように、四年ぶりに異常気象の前兆があらわれ、大雨の降る確立が非常に高いとのことで、地域住民は、過去に幾度となく浸水被害を経験し貴重な財産をなくしており、不安な気持ちにさらされております。 昨年質問の冒頭でも申し上げましたが、いち早く事業に着手され、事業が進んでいることにつきましては心から感謝をしておりますが、現在の事業進捗度合いから見ますとあと何年かかるものか推測もできない状況であります。 県の施策の中で、均衡ある県土づくりを目標に掲げ、あらゆる方面で社会資本の整備に取り組んでおられることから、災害に強い基盤形成が整わなければ、地域の活性化はもとより経済の浮揚はあり得ないと確信しているものであります。このような観点から、境川の窮状をお察しの上、災害復旧事業等の採択をぜひお願いするとともに、境川改修の促進についてより一層積極的な御協力をお願いし、今後の改修及び災害復旧事業の見通しについて、土木部長にお尋ねいたします。 第三点目は、一級河川三蔵川についてでございますが、三蔵川は、玉名市の北東部、箱谷地区に源を発し、横畠地区を貫流し、青木地区で菊池川右岸に合流する小規模河川であります。流域の状況について申しますと、上流は山林で、中流から合流点までは住宅や公共施設が多く、農地は高度に利用されております。その川を見ますと、断面は狭く蛇行が多い上に多数の固定ぜき等が障害となって、大雨時にはたびたびはんらんし災害を引き起こし、つい最近では、昭和六十三年五月七日の豪雨により農地や家屋に多大の被害を与えております。三蔵川は、常日ごろ周辺の田畑に潤いと恵みを与えておりますが、一方では、洪水でたびたび地域住民を泣かせてまいりました。このように、三蔵川の改修は地元住民の多年の念願でございます。県当局におかれましては、このような事情を十分御賢察いただきまして、三蔵川の改修に積極的に取り組んでいただきますようお願いをいたし、今後の改修見通しについてお尋ねをいたします。 それから、要望といたしまして、木葉川の改修について御要望をいたしておきます。 この河川は、植木町滴水地区を源とし、ほぼ西流し、田原坂、木葉地区及び玉名市田崎地区を貫流し、津留地区で本川菊池川の左岸に合流する流路延長約十二キロメートルの一級河川であります。玉名市域の木葉川は、河川勾配も緩やかで、常日ごろは地域の住民にとりましてはまさしく穏やかな川であります。しかし、静かな川も洪水期にはしばしばはんらんを繰り返し、甚大な浸水被害をこうむっております。特に菊池川合流点近くの玉名市津留地区から田崎地区間の住民は、今までに繰り返された浸水被害を経験しているだけに、非常に不安な気持ちで毎年雨季を迎えているのであります。 古来より、農耕民族のいずれの国でも、文化は川の周囲から始まり、そして栄えてまいりました。それゆえにまた、水を治める者が国を治めるとも言えるのでございます。住民の生命、財産を守り、その地域ごとの文化の発展と一層の活性化を図る上からも、社会基盤の整備の中でも特に治水事業は最優先に推進する必要を痛感しているものでございます。 このように、木葉川の津留─田崎区間の改修につきましては、建設省とも関連をするわけですが、あわせて早急に河川改修に着手されることを地域住民とともに切に要望いたしておきます。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 玉名市におきます三つの川についてのお尋ねでございますが、まず、一級河川の繁根木川の改修でございます。 お話がありましたとおり、菊池川の合流点から三キロの区間は、とりわけ治水上重要ということで国の直轄管理区間となっております。三十五年から改修工事が進められて下流から順次整備が図られてまいりまして、現在合流点から一・五キロの立願寺橋まで整備を終えております。 お話にございました立願寺橋から上流の富ノ尾までの約一・五キロの区間でございますが、ここは玉名の温泉や人家連檐地区でありまして、また将来の土地利用計画上からも河川計画について今までいろいろ協議がなされてきたところでございます。最近でも、本年四月に建設省、県、市三者によりまして事業を進めていくための話し合いが行われました。今後は、用地関係者の御同意をいただいて、平成四年度には工事に着手したいというような国の御計画と伺っております。で、県といたしましても、玉名市東部地域の地域防災とともに、先ほどお話がありました県道玉名八女線の整備ともあわせましてこの事業の推進は大変重要なことであるというふうに考えております。地元関係の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、国に対しても事業の促進を強く要望してまいりたいと考えております。 それから、二級河川の境川の改修でございますが、境川は、従前は災害復旧事業等によりまして、堤防の補強と局部的な河道の掘削などを重点的にやってまいりました。平成元年度からは、玉名市の共和の塩浜樋門から上流清松橋までの約八百メートルの区間でございますが、局部改良事業として改修に着手することとなりました。今後は事業の促進と拡大に努めるところでございます。 なお、災害が発生した箇所につきましては、その状況を踏まえまして効果的に事業が推進できますように努力してまいりたいと考えております。 一級河川の三蔵川についてでございますが、三蔵川は、お話にありましたように、大変河川の断面が小さかったり蛇行があったり、せきとか橋とか障害物がたくさんございます。特に取水ぜきはすべてコンクリートの固定ぜきでございまして、上流に堆積土砂も大変多く、洪水時の障害となっております。したがいまして、せきを統合して可動ぜきにするなどの河川改修計画を立てまして国に要望を行ってきたところでございます。 このたび、平成二年度から青木地区の菊池川合流点から上流へ三キロの区間につきまして国の局部改良事業としての採択をいただくことになりました。本年度は実施のための調査、それから、できれば一部用地の取得を行いまして進めてまいりたいと思いますが、今後とも事業の促進については地元関係の皆様の御理解と御協力を賜りたいと考えております。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) どうもありがとうございました。 一日も早く住民が安心できるような体制をとっていただきたいと、このように考える次第でございます。よろしくお願いいたします。 次に、高齢者福祉の問題についてお尋ねいたします。 我が国は、人生八十年時代と言われるように、世界でも最長寿国となり、今までどこの国も経験したことのない速さで高齢化が進んでおります。また、これからももっと高齢化は進行し、二十一世紀初頭には四人に一人が高齢者となるような社会の到来が予想されます。私は、いつの時代におきましても長寿をことほぐ社会であってほしいと願うものでありまして、高齢者が豊富な人生経験や知識、技能を生かし、健やかで生き生きと暮らしていただけるような社会の実現が最も望ましいと思っております。 ところで、本県におきます高齢化の進行は、全国平均よりさらに十年も速く進んでおり、天草町など二十町村では既に二〇%を超えております。私の住んでいる玉名市でも高齢化率は一六・一%で、高齢者の方々が随分多く、またかなりの方が介護を要するのであります。 私は、よく入院生活を送っておられる高齢者の方々をお見舞いに行きますが、お話を聞きますと、早く退院して家に帰り、子供や孫と一緒に暮らしたいと、そういう言葉が返ってきます。また、元気に生活している人でも、これから先足腰が立たぬようになったっちゃ、もう病院には行こごたなかばいたと、こういうような言葉が返ってくるわけであります。自分がこれまで生活してきた所を離れては暮らしたくないと訴えられる高齢者の方がほとんどであります。現状を見ますと、この願いを十分かなえられる状態にはなっていないのが実情であろうと思います。例えば、病気が治り退院することができることになっても、障害が残り介護が必要となると、家に帰っても玄関は狭く、車いすが使えない、またふろに入ろうにも、もともとそこまでのことを考えてつくったふろのつくりではない、また、家族に介護してもらおうと思っても、仕事を持っていたり、また一人では十分な介護ができないといったようなことで、なかなか家庭で介護を受けるのも難しい状況であります。また、介護の仕方などもよく知らないのが実情であります。 このようなことから、在宅福祉を進めていくためには、一つ、高齢者の居住環境の改善について、在宅介護の支援体制について、三つ目に、在宅介護に対する相談体制について、もっときめの細かな取り組みが必要ではないかと思います。この点について福祉生活部長の御所見を承りたいと思います。  〔福祉生活部長東瀬偉一君登壇〕 ◎福祉生活部長(東瀬偉一君) まず、高齢者の居住環境の改善についてでございますが、次のような四点の取り組みを行っております。 一点目は、県の単独事業といたしまして、高齢者住宅整備資金利子補給事業でございます。これは、高齢者のための専用居室の増改築や浴室、玄関、階段等を改造するための資金を市町村が低利で融資した場合に、これに対して利子補給を行うものでございます。また、あわせまして、住宅金融公庫融資住宅の新築等の場合に、六十歳以上の方と同居されるときには、県の個人住宅建設資金融資でさらに百万円の加算を行うこととしております。 二つ目には、現在世帯更生資金貸付制度がございますが、これは、今般の制度改正で生活福祉資金貸付制度と改められることになっておりますが、その制度の中には、日常生活で介護の必要な高齢者のための住宅改造や福祉機器購入のための経費の貸し付けについて、所得制限の緩和が図られることになっております。 それから三つ目に、福祉会館に設置しております熊本県高齢者総合相談センター、シルバー一一〇番でございますが、本年度から新たに高齢者住宅の増改築等についての助言等を行う相談員を配置することにいたしております。 四つ目に、高齢者の方々が安心して生活できますように、本年度整備されます高齢者向けの県営住宅には生活援助員を配置する予定でございます。 いずれにいたしましても、高齢者の方々が快適に過ごしていただくための居住環境については、街づくり等とも関連させながら積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 次に、在宅介護の支援体制についてでございますが、高齢者の方々にとりまして、住みなれた家庭や地域の中で、家族や隣人と触れ合いながら生活していくことが極めて好ましく、また望まれますことは、お説のとおりでございます。このようなことから、県でも在宅福祉の充実に力を入れているところでございますが、特に在宅福祉の三本柱と言われております家庭奉仕員派遣事業、施設において一時的に生活をしていただくショートステイ事業、それから施設へ通っていただき、日常動作訓練、入浴、給食などの各種サービスの提供等を行うデイサービス事業の三つを中心に実施いたしまして、在宅介護の支援を行っているところでございます。 このうち、家庭奉仕員派遣事業につきましては、本年度から単独事業といたしまして、市町村等が家庭奉仕員の活動用自動車を購入する際にその補助を設けましてサービスの充実を図ることといたしております。また、ショートステイ事業につきましては、本年五月から全市町村について利用券方式を導入いたしまして、手続の簡素化を行い利用の促進を図ることといたしております。また、デイサービス事業につきましては、平成元年度におきまして二十六カ所五十一市町村をカバーできるようにしておりましたが、本年度中には四十三カ所七十市町村で実施できるように施設の整備等を進めてまいりたいと思っております。 このように、これまでの在宅介護支援にいろいろ改善を加えながら、より充実してまいりたいというふうに思っております。 次に、在宅介護に対する相談体制についてでございますが、高齢化が進行し、要介護老人を抱えた世帯が増加してきておりまして、在宅における介護支援のための相談体制はますます必要かつ重要になってきております。このため、本年度から特別養護老人ホーム等に在宅介護支援センターを設けまして、在宅看護を行っている家族が、いつでも身近な所で、しかも、保健婦や介護福祉士等の相談、介護の専門家によります適切な助言が受けられるようにしたいというふうに思っております。  〔大仁田貞夫君登壇〕
    ◆(大仁田貞夫君) 高齢者対策、福祉対策は他人ごとではありません。あすは我が身のことであります。安心して生きていける社会の実現のためにも、よろしくお願いを申し上げます。 次に、建設業界における技能労働者の確保の問題についてお尋ねをいたします。 我が国の経済は好調に推移し、これに支えられて雇用情勢も改善を続け、その結果、労働力需給は引き締まり基調で推移しております。すなわち、全国的に見れば有効求人倍率は、昨年七月以降一・三倍という求人超過の状況で推移しておりますし、本県におきましても、昭和六十三年上半期には〇・六倍で推移していた有効求人倍率が、平成元年度は〇・八から〇・九倍台へと上昇しております。 このような中、近年の建設投資の拡大に伴う建設労働力需要の増大を背景として、建設業界における技能労働者の不足にはとりわけ厳しいものがあります。特に本県においては、大都市圏との賃金格差により技能労働者の流出もあることから、型枠工、鉄筋工、左官工等の建設技能労働者の不足はここ数年深刻な度合いを増してきております。業界からは、工期がおくれる、人手を確保してからでないと受注できないなどの声が上がっているような状況にあります。 建設業界は、産業基盤、生活基盤の整備等を通じて、県経済の発展と県民生活の充実に極めて重要な役割を果たしているところでございます。県としては、建設技能労働者の確保のための対策を積極的に講じる必要があると考えますが、どのような対策を考えておられるのか、お尋ねをいたします。  〔商工観光労働部長東坂力君登壇〕 ◎商工観光労働部長(東坂力君) 建設業界における人材確保対策についてでございますが、建設業界における人手不足の背景としましては、好景気の影響とともに、きつい、危険などいわゆる三Kと呼ばれますような雇用改善面での立ちおくれが、建設業の雇用の場としての魅力を乏しいものとしていることが挙げられるところでございます。このため、県としましては、昨年から十一月を建設雇用改善推進月間と定めまして、この月間中に建設業協会の協力を得まして、建設業事業主を初めとする関係者の雇用改善に対します意欲の一層の高揚を図ることを目的として、いろいろな活動を行ってまいっているところでございます。 また、昨年度から建設業協会に設置されております熊本県若年建設従事者入職促進協議会に、この協議会のメンバーとしまして県の商工観光労働部、土木部、教育庁から関係職員が参加して検討を進めているところでございます。同協議会におきましては、若者に魅力を感じさせる職場づくり、建設業界への理解を深めてもらうための学校への働きかけ、日曜、祝祭日全休の推進など、職業的魅力の向上に向けた取り組みが行われているところでございます。 さらに、本年七月二十四日には、本県高等学校進路指導担当の先生方を対象としまして、県と熊本市が共催しまして熊本産業事情セミナーを開催することとしております。このセミナーにおきましては、建設業界の代表者の方々から、業界の現況、業界で期待する人材等につきまして御講演をいただき、進路指導担当者に建設業界についての理解と認識を深めてもらうこととしているところでございます。 今後とも、県としましては、建設業協会と連携を図りながら、効果的な職業訓練の実施、雇用環境の整備など雇用改善に一層取り組んでまいりたいと考えております。  〔大仁田貞夫君登壇〕 ◆(大仁田貞夫君) 御答弁ありがとうございました。 最後になりましたが、要望を二点ほど申し上げておきます。 一つは、九州アジアランド構想につきましてでございます。 昭和六十二年、三井物産を初めとする三井グループから構想が発表されて以来三年が経過しようとしておりますが、これまで構想の実現に向けまして、例えば福岡県、熊本県、大牟田市、荒尾市、長洲などの関係自治体や九州・山口経済連合会、九州電力、地元商工会議所などの経済界の代表によりまして中部有明地域活性化推進協議会が組織され、その専門部会において鋭意検討を進められていると聞いております。また、構想の中核をなします文化交流拠点につきましては、その推進主体である三井グループにおきまして、昨年十月に調査会社、アジアランド企画が設立され、今年三月には基本的計画の概要が明らかにされるなど積極的に努力をされていると理解しているところでございます。しかしながら、この構想の実現に当たりましては、今後さらに中国との折衝でありますとか、詳細な点までの事業採算性の調査、あるいはアクセスの問題などもまだまだ残されているようでございまして、なかなか順風満帆というわけにはいかない状況にあります。実現性に対しましてはまだ不安が残るのでございます。 特に道路の問題につきましては、現状でもゴールデンウイークには三井グリーンランド周辺の交通渋滞が著しく、今後もこのような状況が続けば、この構想が実現した際の集客力への影響が懸念されるばかりか、構想実現に向けての大きな障害となることも予想され、ぜひこの問題につきましては積極的に対処していただきたいと存じます。 この構想で、文化交流拠点に位置づけられている荒尾市はもちろんのことでございますが、玉名郡市など周辺市町の構想の推進に対する期待の大きさというものは改めて申すまでもないところでございまして、これまでも再三、私を含めまして他の議員の先生方からも折に触れ質問がなされてきたところであります。 このような民間活力を活用した大きなプロジェクトというものは拙速に走るわけにはいかないことは十分承知はしておりますが、石炭産業や造船業界などの基幹産業がこのような長く厳しい状況に置かれている中で、地域としても官民挙げて活性化に向けて知恵を絞り、努力をしているところでございまして、県におかれましても、このような地元の期待と努力をお酌み取りの上、今後さらに九州アジアランド構想の推進につきましては積極的に取り組まれるよう改めて要望いたしますとともに、早急な構想の実現を期待するものであります。 ○副議長(鏡昭二君) 残り時間が少なくなりました。質問を簡潔に願います。 ◆(大仁田貞夫君) (続)次に、大牟田熊本宇土線の国道昇格についてでありますが、これもなかなか難しい問題とは思いますが、県におかれましては一層の御尽力を賜りまして、私の要望を終わらせていただきます。 きょうは大変長い間御清聴いただきましてありがとうございました。それからまた執行部の皆さん方には大変御熱心な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。(拍手) ○副議長(鏡昭二君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十四分休憩      ───────○───────  午後一時三分開議 ○議長(北里達之助君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 草村照君。  〔草村照君登壇〕(拍手) ◆(草村照君) 阿蘇郡選出の自由民主党・草村照でございます。六月県議会の質問の締めくくりを務めさせていただきます。皆さん方には大変お疲れのところと思いますが、最後までよろしくお願いを申し上げます。 なお、幸いに私の阿蘇郡の大先輩である北里議長さんが私の背景におっていただきますので、意を強くして頑張りたいと思います。執行部におかれましても、どうぞよろしくお願いを申し上ぐる次第でございます。 では、通告に従いまして質問に入らせていただきます。阿蘇山の降灰対策をトップにやりたいと思うわけでございます。 まず最初に、私にとりましても政治生命をかけてと申しても過言ではないと思いますが、阿蘇山の降灰対策についてお尋ねをいたします。 このことにつきましては、知事を初め県議会並びに各党にも被害状況視察をいただき、対策に全力を傾注していただいた上に、本議会でも我が党の深水先生が先日、また社会党の中島先生からも取り上げていただき、阿蘇に暮らす住民の一人として、また代弁者として厚く感謝を申し上ぐる次第でございます。 御案内のように、昨年の七月以来消長を繰り返しながら今なお活動を続け、これがいつまで続くのか予想だにできません。今日までの被害状況の数的なものについては明らかにされておりますので割愛をいたしますが、地元の長老の話によりますと、これほど長期で大量の灰を降らせた活動は記憶になく、今日では周辺に生息する鳥の数もめっきり少なくなったわけでございます。一部地域には全くいなくなったという話さえ聞いておるわけでございます。また、例年ミヤマキリシマについている害虫を調査をされていますが、その数が大幅に減少したとの報道を目にしました。去る三月には、それが直接的な原因ではないとしながらも、登山された観光客が噴出したガスの影響で死亡されたということが起きております。これはまさに、ただの自然災害ということだけでは片づけられない問題であり、重大な私は公害の問題ではなかろうかと思うわけでございます。 いずれにしましても、毎日のように異臭するガスを含んだ大量の火山灰が降り注ぎ、噴火口より数百メートルの位置に存在する部落の方々は空を仰いでおびえておられます。このような状態が続くようであれば、ここを捨てて出ていかなければ生活ができなくなるのではと不安の毎日を過ごされているような状況でもあるわけでございます。 国におかれましては、議員立法により昭和四十八年、活動火山対策特別措置法が制定され、その後昭和五十三年には対象事業の拡大などの改正がなされているものの、生活を根底からおびやかすような状況下では十分対処できないのではないかと思うわけでございます。しかし、これを今すぐ改正してほしいと申し上げても、国政の問題であり難しいとは存じますが、私といたしましては、かように深刻な状況にあることをお訴えし、被災地の要望に沿ってさらなる改正に取り組んでいただきますよう強く働きかけをお願い申し上げ、それぞれの項目ごとに質問に入らせていただきます。 まず、農作物被害対策についてお尋ねをします。 これまでの阿蘇火山の降灰による被害は、農作物に対するものが最も甚大であり、被害累計は五月末日現在十四億四千万に達しておるわけでございます。昭和五十四年の降灰時を大幅に上回るものとなっております。被災農家の方方に対して心からお見舞いを申し上ぐる次第でございます。被災農家の方々に対して心から再度お見舞いを申し上ぐる次第でございます。 降灰による農作物被害対策につきましては、昨年の七月、火山活動が活発化して以来、これまで我が党といたしましてもその救済対策に全力を挙げて取り組んでまいりましたが、県におかれては、農家の経営の安定を図るため、農業共済制度による共済金の早期支払いや地域から要望の強かった営農・生活資金などの金融対策として単県制度資金を創設されるとともに、この春の作付に支障がないように、単県による緊急的な酸度矯正事業を実施されるなど迅速な対応をしていただき、地元生産者の方々も深く県に対して感謝をしているところでございます。 ところが、去る四月二十日になりまして阿蘇火山はまた大噴火を起こしてしまいました。ことしに入り噴火活動は一時小康状態にありまして、生産農家の方々も、このまま静まるのではないかと希望のもとに新たな気持ちで営農に取り組んでいたやさきだけに大変なショックであったと私は思うわけでございます。今でもまざまざと覚えておりますが、折からの雨で、それまでの降灰量を超えると言われる大量の降灰と降雨が重なったため、ヨナがヘドロ状となり、まさに真っ黒の雨となって降り注いだものであります。私も地元に生まれ育ち五十年ほどになりますが、このような経験は初めてであり、折しもビニールハウスではトマト、メロン、イチゴが栽培されており、これらの施設野菜や飼料作物などを中心に、わずか一日の降灰で被害額にしても二億七千万というかつてない大きな被害となっているわけでございます。これはもう新たな降灰による新たな被害と言っても過言ではございません。 また、畜産農家にあっては、緊急に放牧牛を下牧させるとともに、中部地域では、町当局、消防団、農協が協力して消防ポンプ車四十五台を出動させ、ビニールハウスの降灰の洗浄、除去作業をされましたが、洗ったそばから降ってくるわけですから、その御苦労は大変なものがあるわけでございます。 阿蘇地域の施設野菜は、近年雨よけハウスを中心として導入され、例えばトマトについて申し上げますと、約九十五ヘクタールを栽培されておりますが、経営の大きな柱として定着しており、今後さらに伸びることも見込まれておるわけでございます。 ビニールハウスの降灰の除去対策につきましては、昨年、県の阿蘇火山降灰緊急対策事業により、洗浄機二十一台が導入され威力を発揮しておりますが、このように連日大量の降灰が続きますと、労力等の問題から困難なのが実情であります。そう再三再四消防ポンプを出動させるわけにもいかないわけでございまして、例えばハウスの屋上散水など何かよい手だてはないものかと。高冷地野菜の産地育成という観点からも対策について、農政部長に要望いたしておきます。 また、今後とも降灰が続きますと、遠からず地域の基幹作目である水稲や大根、キャベツなどの露地野菜への影響も懸念されるわけでありまして、まさに被災農家の方々は、天を仰いで降り注ぐ降灰を恨み、打ちひしがれる思いでありましょう。雨や風といった通常の気象の変化と違って降灰は地下活動でありますだけに、いつまで続くのか予想がつかないことがまことに厄介なものでございます。 いずれにいたしましても、これといった決め手となる対策はなかなか見出せないのが実情でありましょうが、引き続く降灰被害に対しましては、よく地元の要望を聞いていただき、早急な対策をお願いしたいと思います。 そこで、懸案であります防災営農対策を含め、当面どのように農作物被害対策を進められるのか、農政部長に一番にお尋ねをいたします。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 降灰による被害は農作物に対するものが最も大きなものとなっておりまして、殊に四月二十日の噴火やその後の降灰により、営農上の被害が広範囲にわたり拡大の傾向にあることを大変憂慮しております。今後は、総合的な防災営農対策が重要となってまいりますが、地元の要望の強い活動火山対策特別措置法に基づく防災営農施設整備計画の進捗状況につきまして、現在地元町村の御意見を聞きながら、用水確保のための畑作振興深層地下水調査事業、降灰によって酸性化した土壌を石灰で中和する降灰地域土壌等矯正事業、畑地かんがい施設、ビニール被覆などの降灰防止・降灰除去施設整備事業等を内容とした事業計画を作成し、来年度から実施できるよう計画の承認について国と協議を行っているところであります。 なお、国の防災営農施設整備計画の基準に達しない事業等につきましては、単県事業を中心に、地元の御要望に沿って既に各般の対策を進めております。具体的には、降灰の被害のため下牧した牛の粗飼料確保対策といたしまして、国の牧場などの協力を得て約百三十トンを市価の半額程度で供給できるよう緊急的に対応しており、リンゴ園の洗浄水の確保や洗浄機の導入等につきましては、既存事業であるかんきつ園転等落葉果樹団地育成事業等により年度内導入を予定しております。 土壌の酸度矯正のうち平成元年度分につきましては、平成二年三月、降灰地域緊急土壌矯正事業を実施いたしましたが、本年度分につきましては、今後の降灰の推移を見ながら対応してまいりたいと存じます。また、園芸施設の農業災害補償制度による共済金の早期支払いを指導いたしますとともに、今後の資金需要の推移を見ながら、被災農家の経営安定を図る上で必要な営農資金、生活資金等の金融対策として、昨年同様の低利の単県資金の導入を検討することとしておりまして、今後とも必要に応じ適切に対処してまいりたいと存じます。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) 農政部長におきましては、昨年、ことし、大変私たちも酸度矯正の石灰等の配分につきましても御援助いただきまして、地域の町村も大変感謝をしているわけでございますが、まだまだほかの施設等あらゆる問題につきましての補助的な問題が十分でございませんので、どうぞ今後とも町村長、あらゆる県事務所を通じてよろしくお願いをするところでございます。 次に、二番目になりますが、住民健康対策でありますが、このような噴火が続き、その中で生活している住民にとって、降灰による健康への影響がこれまでにも増して懸念されているところでございます。周辺住民の健康対策について県としてどのような考えでおられるか、お尋ねをいたします。 また、水道施設への影響についてでありますが、阿蘇地域においては水道水源の大部分が地下水に依存しておりますが、蘇陽町、久木野村、高森町、この三カ町村においても、二十五の簡易水道のうち河川の表流水に水源を求めている簡易水道が八施設あります。このような施設では、多量の降灰時には、または降雨時に水源への灰の流入等によって水質の影響が懸念されます。また各家庭で、あるいは施設園芸のハウス等で降灰を洗い流すための水道水の使用が多くなっており、これらのことから、降灰による水道水質への影響、水圧低下、断水等水道への影響を生じていないのか、衛生部長にお尋ねをいたします。 第四点は、教育問題についてでございますが、阿蘇火山降灰による学校施設への影響については、木造校舎では、窓のすき間から教室や廊下へ灰が吹き込んだり、四月二十日の被害では、校舎の壁やガラス窓に固形状の灰が付着して黒く変色する等、その清掃は職員や児童生徒では困難な状況であります。また学習面では、運動場に二、三センチの降灰による堆積があり、運動場で体育の授業ができず体育館で授業を行ったり、屋外での写生や理科の草花観察ができない等、かなりの影響を与えています。そのほか、遠足を延期した学校や茶摘みができなかった学校も出ていると聞いておるわけでございます。また大部分の学校が、御承知と思いますが、六月の上旬から水泳授業を始めますが、プールの掃除をしたときに底に二、三センチの火山灰が堆積していて、児童生徒や保護者あるいは消防団の手伝いも受けて大変な御苦労であったと聞いております。今後も降灰が予測され、水泳中の児童生徒の体に与える影響が心配されますが、さらに降灰がひどくなれば、水泳の授業ができない状態にならないかと心配しているところでございます。 次に、健康、安全面でも、目の痛みやのどの痛みを訴える児童生徒がかなりおり、登下校も雨が降れば滑りやすく、風の強い日はヨナが舞い、目に入りやすい状態になります。これらの影響で、目を閉じて自転車で走行中の中学生が乗用車に接触しけがをした事故や火山灰で道がわからず側溝に落ちて肩を脱臼した高校生もいると聞いておるわけでございます。 今後とも火山活動は繰り返されると思われますが、児童生徒が安心して学習できるように、運動場やプール等の学校施設の管理や児童生徒の健康、安全面での指導について教育長はどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。 次に、福祉施設関係についてでありますが、幸いなことに、福祉施設で人的、物的被害が生じたとは聞いておりませんが、降灰の掃除などに大変苦労しておられます。保育園では、園児がやってくる前に保母さん方が毎日朝早くから保育室や遊戯室の灰を掃除したり、特別養護老人ホーム等では、職員の方が居室や廊下の掃除を一日に何回もされております。また、屋根に積もった灰の洗い流しにも困っておられるようでございます。保育園児や福祉施設の入所者の方々のためにも、また職員の方々の御苦労を軽くするためにも、降灰が室内に入らないように工夫を施すなど個々の施設に応じた降灰対策が求められていると思いますが、この対応をどのようにお考えか、福祉生活部長にお尋ねをいたします。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 降灰が住民の健康に与える影響につきましては、降灰発生の時点から憂慮し、種々対策を講じてまいったところでございます。特に降灰のひどいときには帽子やマスクなどを使用し、目を洗ったりうがいを励行するよう指導するとともに、地域の約二万三千の全世帯にチラシを配布するなど、生活上の注意事項について周知徹底を図っております。また、昨年十一月以降数回にわたり、阿蘇郡内の医療機関を通じ、呼吸器疾患などの受診状況について調査を行いました。その結果、現時点では例年とほとんど変わっていないけれども、目やのどの一時的な症状で受診する人が若干見られるという状況にあります。 今後も引き続き地元医療機関を通じての調査を行い、住民の健康監視を継続していくとともに、今後の降灰の状況によりましては、降灰のひどい地域での住民の健康診断、学童の呼吸器などの症状についての調査など、必要な対策を講じてまいりたいと存じます。 次に、水道施設への影響についてでございますが、お話しのとおり、阿蘇地域の水道水源は大部分を地下水に依存しておりますが、高森町、久木野村、蘇陽町におきましては一部表流水に水源を求めております。 まず、水質につきましては、水道事業者におきまして、年一回実施する全般的な検査、検査項目数は二十六項目ですが、それから二つ目には、毎月実施する簡易的な検査、十項目、三番目に、色、濁度等毎日点検する検査、この三段階の水質検査を実施しているところでございます。現在までのところ、この全般的な検査及び降灰のための臨時の検査の結果では、降灰によると思われます水質への影響は見受けられておりません。しかし、降灰が長期化しており、御指摘のとおり水道水質への影響も懸念されますことから、毎月実施している検査項目に降灰による影響が考えられる弗素も加えて検査する等、水質に十分留意するよう指導しているところでございます。 特に、表流水を利用している施設につきましては、水道施設の機能が低下しないよう、浄水池の灰の除去あるいはろ過する砂の清掃等をきめ細かく行うこと等を指導しているところでございまして、今後とも水質等に影響を来さないよう十分配慮してまいりたいと思っております。また、降灰除去のために使用量が増加し、水圧低下、断水など給水への影響の有無につきましては、現在のところそれらの影響は見受けられておりませんが、今後夏場に向かい水の需要の増加が見込まれますので、住民の生活用水に不便を来さないようあわせて指導してまいります。  〔教育長松村敏人君登壇〕 ◎教育長(松村敏人君) まず、県立学校校舎につきましては、ほとんどが鉄筋構造でございまして、建物への大きな被害は出ていない模様でございますが、校舎の壁面あるいは窓ガラスに付着をいたしました灰につきましては、今後の火山活動の状況を見ながら除去してまいりたいと存じます。 なお、町村立学校におきましても、校舎の管理につきまして十分配慮していただくよう指導を徹底してまいりたいと存じます。 それから、運動場の降灰除去につきましては、県立学校にありましては除去費用を配分をいたしておりますし、小中学校につきましてはそれぞれ町村において御努力をいただいているところでございますが、出費を伴う場合には、国の財政補助制度を活用できるよう指導してまいりたいと存じます。 それから、プールにつきましては、桜島の降灰対策を参考に上屋の建設等につきまして研究してまいりたいと存じます。 次に、健康、安全面につきましては、昨年十一月に、洗顔、うがい、手洗いの励行、あるいは通学時の交通安全等について通知をしたところでございますが、今回、水泳の授業につきまして、プールの水を十分ろ過し、降灰の状況に応じて水がえを行う等、水質管理の徹底を図り、授業後は、目だけでなく体全体をよく洗うように指導したところでございます。今後とも、学校施設への影響や児童生徒の健康状態を見ながら対応してまいりたいと存じます。  〔福祉生活部長東瀬偉一君登壇〕 ◎福祉生活部長(東瀬偉一君) 福祉施設の降灰対策でございますが、室内に灰が入らないように、降灰除去のためのドア、窓枠、空気調和設備の整備につきましては、活動火山対策特別措置法によります補助制度が利用できることとなっております。今回の降灰防除対策につきましても、各施設から御要望があればこの制度を利用してまいりたいと思っております。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) 三部長さんからいろいろと御答弁をいただいたわけでございます。特に距離の近いところの小学校が木造建築で、もう長い年数がたっているわけでございますが、小学校でございますが、この学校等につきましても、教育長におかれましては、ぜひ町村と連絡をとっていただきまして、ヨナ公害の、子供の公害がないようにお願いをいたします。 次に、南阿蘇地域振興のことについてお尋ねをいたします。 阿蘇降灰対策について答弁をいただきましたが、降灰被害は各方面にわたっており、商工業の方々にとっても深刻な事態になっております。そこで、制度融資を初めとする金融支援対策を要望したいと思います。 昨年四月から、阿蘇山の爆発噴火により、先ほど申しましたが、郡内の多くの町村では農作物を中心に多大なる被害が発生しておるわけでございます。また商工関係でも、土産物業者、宿泊施設などの観光関連業者において売り上げ減少となっておるわけでございます。今後も農家所得の減少による地元の消費購買力の低下が目に見えておるわけでございます。自然現象とはいえ、いつ終わるものか予測ができず、商工業全般にわたって厳しい事態になりかねない情勢でございます。また、これに加えて、大規模小売店舗法の規制緩和が実施されておりますが、各地で大型店の出店が目立ってきており、今後阿蘇地域における中小商業者にとっては二重三重の打撃をこうむることが十分に予想されるところで、私はこのような事態を大変心配する一人でございます。 元来、阿蘇地域の商工業は、何分にも規模が小さく、また建物、施設等も古くなってきており、今回の火山噴火では自動ドア、ショーケースなど緊急な整備も必要である上、大店法問題がありますと、何をしようにも自助努力だけではどうにもやっていけないのが町の商店街の実態ではなかろうかと私は思うわけでございます。 県におかれましては、中小企業に対して、現在経営安定対策資金などの融資制度や共同化事業の推進に当たっての支援等をいただいておりますが、昨年からの公定歩合の相次ぐ引き上げ等により、市中金融機関の一般中小企業向け貸付金利は八%を超え、高金利となっております。県の融資制度は高利のときほどその効果が期待されますが、二重三重の打撃をこうむっている阿蘇地域の中小企業者向けの金利負担の軽減策について、金融機関の協力を得て特段の御配慮をいただきますように要望しておくわけでございます。 降灰対策につきまして、以上で終わる次第でございますが、私、けさも地元の阿蘇の高森の方から出てまいりましたが、相変わらず阿蘇はヨナを噴き上げております。代表質問、一般質問を通じて、それぞれ降灰対策につきまして事細かに質問がなされて、執行部からも前向きの御答弁をいただいたところでございますが、ただいま申し上げましたとおりまだまだ継続中の現象でございます。住民の不安解消のためにも、農作物被害対策、健康対策を初めとしました降灰対策につきまして、温かい御配慮を引き続きお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。 南阿蘇地域の振興についてお尋ねをいたします。 阿蘇地域の振興につきましては、かねがねよりいろいろと御配慮いただいており、厚く心から知事初め執行部の方々にお礼を申し上ぐる次第でございます。 さて、私は、昨年五月の本会議におきまして、南阿蘇地域の開発の方向につきましてお尋ねをいたしたものでありますが、知事から、雄大な自然景観や地域独自の資源を生かしながらも、自然環境の保全と開発のバランスのとれた質の高いリゾート基地を目指していくとのお答えをお聞きし、大変に意を強くしたものであります。 私は、これまでも何回となく申し上げてきたところでありますが、阿蘇は、何といいましても、九州はおろか日本を代表する観光保養基地であり、ここを訪れる人々は一様にそのスケールの雄大さに大きな感銘を受けるものでございます。そして、県の観光キャンペーン等のおかげもありまして年々観光客の数がふえております。昭和六十三年度の統計によりますと、実に七百七十万人の人が、阿蘇の大自然に触れ、温泉やスポーツを楽しんだものであります。また、このリゾートブームの中で、大手資本によるリゾート開発プロジェクトも進められております。この八月には西武グループの大規模リゾート施設がオープンするなど、県土デザインで目指しております高原リゾートとしての整備が少しずつ姿をあらわしつつあるように思うものでございます。 さらに、せんだっては、阿蘇の環境を大事にしながら、すぐれた地域づくりを進めていくためのリーダーとなる組織として、県の全面的な御支援を受け阿蘇環境デザインセンターが設立されたところでございますが、阿蘇地域の統一された秩序ある地域開発を推進するための大きな原動力になるものと大いに私は期待しているところでございます。 なお、南阿蘇に目を転じてみますと、県の御努力によりまして大規模年金保養基地・グリーンピア南阿蘇やアスペクタの整備、南阿蘇鉄道の観光面への対応などが進められ、あわせて農業振興のための広域農道の整備などのほか、地元町村におきましても、白水村、久木野村の温泉センター、そば道場あるいは蘇陽町でのブルーベリーの栽培など、創意工夫を凝らした施設や特産品が予想以上の人気を得ておりまして、従来開発がおくれておりましたこの地域もかなり活性化をしてきたように思われます。しかし一方、県最東端、東の方でございますが、宮崎県の県境に位置する阿蘇郡の一番東の側にある蘇陽町は、開発のおくれた地域であり、特に道路網の整備が急務であるのではなかろうかと私は思うわけでございます。 そこで、巷間、長谷あるいは菅尾を起点として、熊本空港まで至近距離となる国営農道整備事業が検討されていると聞き及んでおりますが、これが実現することにより、九州のへそと言われた蘇陽町の活力につながるものであり、県御当局におかれましても事業採択に向けて格段の御尽力をよろしくお願いをするものでございます。 また、なお最近では、県で計画されております阿蘇ソフトの村が具体的な動きをし、また民間の事業といたしまして高森町での本間ゴルフ場着工や西原村での童謡の里構想などの新たな動きも見られ、少なからぬ期待をしているところでもございます。しかしながら、企業局により整備していただいた登山道路吉田線の利用状況を見ますと、赤水線や坊中線に比べまして、その利用率は決して満足のいくものではないというのが現実の難問題として存在しておるわけでございます。やはり阿蘇のほかの地域に比べますとかなりの差があるのが現実でございまして、阿蘇の北部地域では、古くから温泉を核とした蓄積によるところが大きいものがあるわけでございます。南阿蘇には、何といいましても、多くの人が楽しめる施設や観光客が集まるような施設がまだまだ少ないことが大きな原因ではなかろうかと私は思うわけでございます。 ところで、前回も申し上げましたとおり、南阿蘇は開発がおくれていた分だけ阿蘇特有の雄大な自然が豊富に残っており、このところのリゾートブームにより、開発可能性のある極めて有望な地域として注目を集めているところでございます。このようなこともあり、南阿蘇では、中小の不動産業者によるミニ開発が虫食い的に入り込み、せっかくの地域資源である自然環境や景観を台なしにしてしまうのではないかという懸念と同時に、行政が進めようとする良好な開発や基盤整備もこれらに邪魔をされて思うように進まなくなっているのが現在の状況でもございます。このようなことを防ぐためにも、できるだけ早く南阿蘇一帯の将来のビジョンを示していただくとともに、これに基づき具体的な地域開発を進めていくことが必要ではないかと思うものであります。 ここで少し開発に当たっての土地の利用規制のあり方について意見を述べさせていただきたいと思いますが、例えば阿蘇地域は、阿蘇くじゅう国立公園の区域内にありまして、自然公園法に基づき、すぐれた自然環境を保全するため各種の特別地域が設定されておるわけでございます。また、高原野菜や畜産を中心とした農業基地としての農業振興地域や林業振興のための林業振興地域等が、それぞれの法律に基づき、いわば規制の網がかぶっておるわけでございます。しかしながら、地域の社会情勢や経済情勢の変化であるとか、県民の、あるいは国民のニーズの変化といったものに応じて開発需要は変化いたしますし、例えばこのような地域に道路がつくられることによって、当然のことながらその周辺の開発可能性が高まることもあるわけでございます。 このような開発の手から守らなければならない貴重な自然が分布する所について、より厳しい規制をすることは当然といたしまして、一方、地域振興の面から、ある程度開発をし、豊かな自然に親しむような施設などを整備した方が望ましい箇所は従来の規制を緩やかにするなど、柔軟な対応が必要ではないかと思うものでございます。もちろんこの場合、さきに挙げましたように、ミニ開発、乱開発を防止しなければならないことは申すまでもないことでございます。しかし、今の土地の利用規制の関する法律はどうも硬直的で、少なくとも地域側からの総合的な対応がなかなか難しい面もございます。その一方では、法律の網をかぶっていない地域における無秩序な開発に歯どめをかけることができないという現実もあるわけでございます。環境も大事でありますが、地域が目指す望ましい開発も必要でありますし、そのためのもっと柔軟な土地利用制度であればと思う次第でございます。 ともあれ、県におかれましては、南阿蘇地域をどのようなビジョンでどのような整備をされようとお考えか、まず知事の御所見をお尋ねをいたすわけでございます。 次に、南阿蘇地域へのアクセスの問題でございますが、国道三百二十五号のバイパスの整備も蘇陽町の区間は完成をし、長陽─白水間やほかの区間も工事が進められるなど逐次進捗を見ているところではございますが、地域外、特に熊本市や空港、高速道路インターチェンジ等から阿蘇に入る国道五十七号は、御承知のとおり毎年観光シーズンとなれば、週末ごとに相当な渋滞を繰り返しているわけでございます。南阿蘇に直線的に入ってくる道路として、県道熊本高森線の活用が私は望まれるものでございます。 ところで、この路線の最大の難所は俵山越えの部分でありますが、ここをトンネル化しようという構想、いわゆる俵山トンネルの早期完成は地域の振興を促進する重要な基盤として地元の住民の悲願でもあります。この俵山トンネルにつきましては数年前から調査が続けられているようでありますが、現在における調査の状況等について、あわせて知事にお尋ねをいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) まず、南阿蘇地域の整備のあり方についてのお尋ねでございましたが、阿蘇は世界に誇り得る我が県の貴重な環境資源であり、中でも南阿蘇地域は特に自然景観に恵まれた地域でございますし、例えば米国のアスペンのように、滞在型の質の高い国際的なリゾート地を目指していければいいなというふうに願っております。 そのため、今お話がございましたように、アスペクタあるいはグリーンピアの整備でありますとか、あるいは南阿蘇鉄道の振興、景観条例に基づく南阿蘇景観形成地域の指定などの取り組みも行ってきているところでございます。さらに、阿蘇環境デザインセンターの設立に当たりましては、県も出捐を行い今後の事業活動に対しましても積極的に協力を行うことにいたしております。 なお、お話がございましたように、無秩序な開発の抑制と適正な開発の誘導は大変重要な課題でございますので、この点につきましては、阿蘇環境デザインセンターと十分連携をとりながら、できるだけ早く阿蘇全体の開発のあり方を検討して、阿蘇地域のグランドデザインを描き、高原リゾート地にふさわしい施設の整備なり誘導なりを図ってまいりたいと考えております。 それから、俵山トンネルの調査状況についてのお尋ねでございますが、熊本都市圏と阿蘇地域とを結ぶ幹線道路の整備は、阿蘇地域の振興だけでなく、本県と大分県、宮崎県との交流を促す上からも重要な課題であることは申し上げるまでもございません。また、阿蘇地域の開発に伴う将来の交通需要の増加に対応するためには、五十七号の四車線化と俵山トンネルを含めた幹線道路の整備がこれまた重要な課題であると考えているところでございます。 俵山ルートの調査につきましては、昭和六十二年度から物理探査やボーリング調査など地質状況を把握するための基礎的な調査に取り組んでまいりまして、昨年度から地下水に関する調査を開始をしたところでございますが、俵山一帯は地下水位が高く、周囲には湧水箇所も多くございますので、トンネルが地下水に与える影響についての十分な調査が必要でございます。本年度は、そういう意味で地下水シミュレーションなどを実施することにいたしておりますが、地下水に関しましては、解明がなかなか難しく時間をかけた調査が必要でございますので、今後さらに基礎的な調査を継続して進めていく予定でございます。 俵山ルートは延長十数キロに及ぶ大規模な道路計画でございますが、交通の隘路でもあり、このうち既に調査の終了した西原村小森地区の約三・七キロメートルにつきましては、本年度から補助事業として着手をしたところでございます。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) 知事から御答弁をいただいたわけでございますが、私たち南郷谷の六カ町村につきましては、この俵山トンネルが私たちの悲願でございます。私も県政の場に送っていただきましてもう四年になるわけでございますが、どうぞ執行部におきましては、この南郷谷、そしてひいては阿蘇郡の全体、宮崎県の方々も大変待ち望んでいるわけでございますので、いろいろな交通渋滞等の問題もありますが、ぜひ一日も早く俵山トンネルをつくっていただきたいわけでございます。 また、西原の小森地区からの三・五キロの道路について着工していただきますことにつきましても心から私、地域代表といたしましてお礼を申し上ぐる次第でございます。知事におかれましては、ぜひ私たち南郷谷のこの生の声を聞いていただきまして、一日も早く俵山トンネルの完成をしていただきますように心からお願い申し上げまして、次の質問に入ります。 次に、農政問題についてお尋ねをいたします。 戦後、阿蘇地域の農業は、幾多の困難な課題を紆余曲折を繰り返しながらも農家を初め関係者の御努力によりてどうにか乗り切った現状でございます。しかし、近年私の出身地であります阿蘇地域の農業は大変厳しさを増してきております。米の生産調整や牛肉の自由化など深刻な問題に死活をかけて対応している重大な時期に、さらに人間の力では限界があります降灰という問題も背負わなければならなくなっているわけでございます。しかし、このような四面楚歌の状況のもとで、阿蘇の人間は有史以来全身全霊を注いで直面する問題を克服してまいったわけであります。そのエネルギーをひしひしと私も感じているところでございます。このような農家の方々が必死に努力しておられる中に阿蘇畜協問題が報道されていることは、まことに私、地元といたしましてもまことに残念でなりません。一日も早く阿蘇畜協の組合が正常化されることを心から切望する一人でございます。 そこで、本日は、このような厳しい現状に直面している阿蘇地域の農業における今日的課題であります牛肉自由化対策を初めとする農政問題について、農政部長に質問と要望をいたします。 まず、牛肉自由化を控えた畜産振興対策についてお尋ねをいたします。 昭和六十三年に決着した米国、豪州との牛肉交渉において、平成三年四月から牛肉の輸入枠の撤廃が決定され、昭和六十三年度から平成二年度までの三年間は、総輸入枠は毎年六万トンずつふえてきておるわけでございます。この結果、平成二年度には三十九万四千トンを輸入するとの合意がなされ、この時点において、国内の子牛価格及び枝肉価格は大幅に低落し、畜産農家に大きな打撃を与えるものと懸念されるものでございます。しかし、牛肉については、食生活が多様化する中で、外食産業などを中心に需要が伸びていることから、枝肉価格は、輸入牛肉の増加にかかわらず根強い牛肉需要に支えられ、特に肉質のよい和牛の過去一年間の枝肉価格は一キロ当たり平均千八百円以上で推移しておるわけでございます。また、和牛肥育農家の肥育素牛の導入の意欲が強いことから、子牛価格も堅調に推移しているところでもございます。 国は、平成二年一月、西暦二〇〇〇年を目標とした「農産物の需要と生産の長期見通し」を公表いたしましたが、その中で、牛肉の総需要量は、昭和六十二年度の八十九万トンに対して一・七倍から二倍と大幅な増加を見込んでおるわけでございます。農産物のほとんどは生産が過剰ぎみであることから、価格は低迷し、生産調整を余儀なくされている中で、牛肉は需要の伸びが今後も期待され、本県農業の基幹作目としてさらに発展するところでございます。 幸い、阿蘇地域は、ほかの地域にない広大な土地資源が約四万六千ヘクタールと恵まれ、肉用牛の繁殖雌牛が約二万七千頭飼育されております。これは熊本県下の総飼育頭数の四〇%を占めているものでございます。このような恵まれた条件を生かし、牛肉の自由化に備え、国際競争に打ちかつためには、草地開発、低コスト生産等に取り組むことが大変重要な課題であると私は考えているところでございます。 そこで、阿蘇地域の広大な土地資源を有効に生かした低コスト肉用牛生産の振興を図るため、草地、飼料畑の造成を初め放牧に必要な施設及び農道などの整備が必要となりますが、今後県はこれらの整備をどのように進められるのか、農政部長にお尋ねをいたします。 さらに、豚肉について、ハム、ベーコンなどの加工用の需要が過半数を占め、豚肉でなければ対応できないニーズがあることから、牛肉の輸入自由化による大幅な価格の低落はないものと言われております。養豚につきましても低コスト生産を進め、養豚農家の所得が確保されるためには、豚の能力の向上などが切望されるものでございます。 その一環といたしまして、農業研究センターにおいて造成中のランドレース種系統豚の能力を最大限に発揮させるために、特定の病原体を持たない豚、いわゆるSPF豚を生産する施設の整備が進められることになっており、ことしじゅうに完成予定と聞いておるわけでございます。これは、養豚部門の革新技術として大変意義深いもので、養豚農家の経営安定を図るため一日も早く生産現場への普及が図られますように切に切望して、要望いたします。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 畜産振興対策につきましては、平成元年三月に策定いたしました県酪農及び肉用牛生産近代化計画に基づき、育種改良による能力の向上、飼料基盤などの整備による飼料自給率の向上、受精卵移植技術を活用した双子生産など、高度な技術導入及びすぐれた経営者の育成等を推進しております。 特に、阿蘇地域は約四万六千ヘクタールの広大な草資源に恵まれており、肉用牛を中心とした生産振興を図るため、昭和四十一年度以降国営草地改良事業及び広域農業開発事業等を実施しておりまして、これまで約九千ヘクタールの草地造成と農業用の牧道整備及び牧場管理に必要な給水、牧さく等の施設整備を進めてまいりました。 平成二年度から五カ年計画で行います第三次広域農業開発事業は、総額約二百六十七億円を投じ、二十九の牧場建設、約五百八十ヘクタールの草地造成、西原村─久木野村間の十八キロメートル及び南小国町─小国町間の十八キロメートルの農業用道路を阿蘇郡全町村を対象に建設するものであります。この事業によって、農産物の流通の円滑化と生産基盤の整備が図られることにより、阿蘇地域における畜産を中心とした農業振興の一層の進展が期待されているところでございます。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) 次に、まあ阿蘇南郷谷のことばかりでございますが、高冷地野菜が私たちの産地でございますので、次に高冷地野菜の振興についてお尋ねします。なおまた二番目に、米の生産調整、配偶者対策と三点ほどお願いをするわけでございます。 阿蘇地域の野菜は、夏場の平均気温が二十・七度という涼しい気象条件と広大な耕地を利用し、適地適作を基本として、高冷地野菜を中心に年々産地化が進んでおるわけでございます。 阿蘇地方の野菜の現状を見てみますと、面積約三千ヘクタール、生産量八千三百トン、粗生産額八十七億円でございます。農業粗生産額三百七十億円の二四%も占めているわけでございまして、畜産、米に次ぐ重要な地位にもあるわけでございます。これを五年前と比較してみますと、面積では二〇%の伸びでありますが、粗生産額は六四%の伸びとなっており、県平均の伸び率の三九%を大きく上回っているわけでございます。特に外輪山の畑地帯では、キャベツ、大根、スイカ、スイートコーン等の露地野菜を中心に数多くの野菜が生産されており、一方、水田地帯では、トマト、メロン等に雨よけ施設が導入され、比較的生産も安定し、高収益野菜として定着しているところでございます。中でも、高森町、波野村を中心とする四百八十ヘクタールの夏秋キャベツや小国町、高森町を中心とする六百二十ヘクタールの夏大根については、西日本有数の産地として銘柄も確立されておるわけでございます。一方、夏秋トマトは九十五ヘクタールまで拡大し、完熟トマトの導入等もあり、阿蘇高原トマトとして大変高い評価も受けておるわけでございます。また、最近の消費者ニーズに合わせて、南郷谷では、ウド、ゼンマイ等の地域特産物の育成を図りつつありますが、ほかの町村においても、夏出しホウレンソウ、イチゴ、インゲン、チンゲンサイ等の新しい品目の導入も行われています。 しかし、阿蘇地域は、夏が涼しいという反面、七月から八月の降水量が八百ミリというような多量の雨による病害の発生や根傷み等、作柄が不安定で栽培に非常に苦労しているところでもございます。さらに、本地域の野菜は夏場の出荷が主体となっており、鮮度をいかに保持するかが重要な課題でございます。 一方、最近の野菜情勢を見てみますと、県下の水田農業確立対策での野菜への転作は四千七百ヘクタールで、転作面積に占める割合も約二二%となっており年々増加の傾向にあります。さらに、我が国の生鮮野菜の輸入も年間二十二万六千トンに達して、消費面では一人当たりの野菜消費量は百九・八キログラムとなっておりますが、五十年以降横ばいに推移しているところでもございます。内容的に見ますと、健康志向、本物志向等個性化が進み、産地間競争はますます厳しい状況にあります。 このように、農業の国際化が進み消費が多様化する環境の中で阿蘇地域の農業の振興を図るためには、消費者ニーズを先取りし、夏場における涼しい気象条件と広大な耕地を十分に生かすことを基本として、生産流通対策が必要であろうと考えているわけでございます。特に高冷地野菜の振興という観点から、生産の安定、品質向上、鮮度保持を図るとともに、従来の主力野菜に加え、さらに地域特産物の育成も重要なところと考えております。 そこで、今後阿蘇地域の高冷地野菜が地域の特性を生かし、夏場における野菜の供給産地としてなお一層の飛躍を図るための振興対策について、農政部長にお尋ねをいたします。 次に、米の生産調整について要望をいたしておきます。 米の生産調整については、これまで二十年以上にわたって実施されてきたにもかかわらず、米の需給ギャップは依然として拡大の傾向にあり、本年度から三年間にわたる水田農業確立後期対策が実施されているところでもございます。後期対策における転作面積については、当初拡大されると見込まれたため、私も昨年の五月の県議会におきまして取り上げ、これ以上の面積拡大が行われないように強くお願いをしたところでございます。その後、我が党、議会、県当局、農業団体が一丸となって国に対する要望が行われた結果、前期からの据え置きということで決着し、本県は二万四千五百ヘクタールの配分を受けたところでございます。阿蘇地域におきましても、昨年末に前期並みの三千五十八ヘクタールの転作面積の配分を受け、各町村とも達成に向かって鋭意取り組んでいるところでもございます。 御承知のとおり、阿蘇地域は、標高が高く、平均気温が十三度という高冷地で、しかも湿田が多いところから、転作作物の定着が大変難しい所でもあります。農家の皆さんは、このような不利な条件のもとで、これまで飼料作物や大豆、そうしてトマト、メロン、イチゴ等の施設野菜に取り組み、大変な努力によって、何とか水田面積の三割に及ぶ転作を実施してきたところでございます。 このような状況の中で、さらに先ほどから申し上げておりますように、阿蘇の農業は、現在阿蘇火山の降灰というまことに厄介な自然現象に対処しなければならない事態に直面しております。被害農家の方々は、農作物の被害を最小限に食いとめるべく、ビニールハウスの洗浄、灰の除去作業等に尽力をされていますが、その精神的、労力的な苦労は見るに忍びないものがあるわけでございます。 私は、日ごろからこの農家の窮状を目の当たりにいたしておりますが、降灰による作物への影響を考えた場合、阿蘇地域の農家経営にとって稲作が比較的に安定した作目であろうと思うものであります。もちろん水稲についても降灰の影響は避けられませんが、比較的酸性土壌にも適応でき、また、産米改善で培ってきた技術が生かせるものと私は考えるわけでございます。 昨年末に配分された後期対策期間中の転作面積については、県下各地域ともぎりぎりの状態の中で実施されているところから変更の合意が極めて難しいことは十分承知しておりますが、阿蘇地域のこのような実情をお酌み取りの上、転作面積の軽減について御配慮をいただきますように心からお願いする一人でございます。 最後に、農業後継者の配偶者対策についてお尋ねをいたします。 これからの二十一世紀農業を展望いたしましたとき、農業・農村の高齢化や農業後継者の減少は切実な社会問題としてクローズアップされていることは周知のとおりでございます。熊本県におきましても、基幹的農業従事者と言われる、いわゆる農業を主とした者の年齢構成では、昭和六十四年一月一日現在で六十歳以上が三二%で、五十歳以上としてみますと実に六三%に及んでおるわけでございます。全国的に見ましても農業労働力の高齢化は進んでいる状況にありますが、また、農業後継者と言われる十六歳から二十九歳までの間が五・八%、十六歳から三十九歳の間で見ても一九・六%で、若者のウエートは低く、しかも昨年新規学卒就農者が一人もいなかった町村は、県下で九十八市町村のうちに三十三にも及ぶなど、これからの本県農業を支える若い担い手の確保は大変厳しくなっているわけでございます。このような農村の現状に加えまして、今日の農業が農産物の自由化とか稲作転作を初めとする生産調整とか大変厳しい環境の中で担い手問題は一層深刻となっておるわけでございます。 そうは申しましても、本県は全国的には北海道に次いで中核農家とか新規就農者の数は多い方でございます。こうした農業後継者の皆さんは、それぞれの地域で生産性の高い農業経営の実現に意欲的に取り組んでおられるし、ぜひこれからの本県農業を支える担い手として頑張ってほしいと思うわけでございます。 ところで、こうした農業後継者がたとえ確保できたといたしましても、今日切実な社会問題になっているのが後継者の配偶者問題でございます。いわゆる農家の嫁問題であります。将来ともに歩む配偶者の確保ができなくては、農家の存続も危ぶまれ、農村の活力も失われるわけでございます。 私の地元阿蘇郡内におきましても、こうした切実な問題をよく耳にしますし、相談を受けることも多く、現実深刻な課題でございます。特に農林業を産業基盤とする中山間地域におきましては重要な課題でもあるわけでございます。次の世代に農業を継承していく後継者の配偶者がいないということは健全なことではございません。個々の経営はもとより地域農業や農村の崩壊にもつながりかねません。農業後継者の配偶者対策については、村の将来、そうして町の活力を取り戻す上で、行政の側面からも重要な課題であろうと考えるものであります。 そこで、県といたしまして、この農業後継者の配偶者対策についてどのように取り組んでおられるか、また今後の対応についてどのように対応されるのか、農政部長にお尋ねをいたします。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 阿蘇地域の高冷地野菜の振興対策についてのお尋ねでございますが、本県の農業粗生産額は、平成元年度に初めて四千億円を突破いたしましたが、野菜は前年より一三%伸びまして九百六十億円となり、畜産に次いで本県農業の柱となっています。 本県の野菜は、阿蘇から天草に至る変化に富んだ自然条件を生かし、周年供給基地としての産地化が図られておりますが、中でも阿蘇及び矢部地域は、夏場の供給基地として重要な地位を確保しています。最近の野菜の一人当たりの消費量は年間百十キログラム前後で横ばいに推移していますが、消費者嗜好が多様化、高級化する中で、白菜、タマネギ等の重量野菜の消費は減少し、レタス、チンゲンサイ、セリ等の小物野菜の消費は伸びるという品目の交代が見られます。その中で、消費が減少しつつある野菜の中でも高品質なものは高値で販売されるなど、品質による価格差が顕著にあらわれてきております。 阿蘇地域の高冷地野菜につきましては、夏の冷涼な気候を生かし、国や県の指定産地として、トマト、キャベツ、ホウレンソウ、大根等の生産額がこの十年間で倍増し、約八十七億円になっていますが、さらに消費者の需要に沿った夏野菜の供給産地として積極的に育成してまいりたいと存じます。 しかし、産地育成を進めてまいります上で、生産面では、夏雨が多く、作柄や品質が不安定になること、出荷面では、夏場の出荷が主体であるため、いかに鮮度を保持するかが課題であります。そこで、生産安定と品質向上を図るため、雨よけハウスを積極的に推進してきた結果、トマト、スイカ、ホウレンソウなど、対象面積約二百八十ヘクタールのうち百五十五ヘクタールについて整備を終えたところであります。また、鮮度保持対策として予冷・保冷施設の整備が重要でありまして、これまで二十三カ所のうち十八カ所に設置してきたところであります。 最近の需要動向を見ますと、小物青果物を地域特産物として振興を図ることが大変重要でありまして、そのためには、今後とも雨よけハウスや予冷・保冷施設について、制度資金や各種事業等の導入によりさらに整備を図ってまいりたいと存じます。 農業後継者の配偶者対策についてのお尋ねでございますが、後継者の配偶者対策につきましては、基本的にはあくまでも当人同士の合意に基づくもので、農業後継者みずからも社会性に富み、自己主張ができるなど、青年として魅力ある人間でなければならないと考えています。しかし、農業の継続した発展と農村地域の活性化を図る上で、配偶者対策は重要な農政の課題と考えております。 県といたしましては、幅広い視野と魅力ある人間性を養うために、講座制研修、国内及び海外研修や異なった業種との女子と青年等の交流、交歓会の場を設けるなどの事業を実施してきたところであります。また、農業後継者育成基金事業との連携で実施しています結婚相談員制度では、県下五県事務所四十六市町村で配偶者相談を進め、制度発足から平成二年三月までの約三カ年間の間で、相談件数四百四十六件、このうち結婚につながったもの七十八件、現在交際中百十件であり、徐々にではありますが成果が上がっているものと思っております。 今後の取り組みにつきましては、引き続き農業後継者の研修や交流事業等を実施し、すぐれた後継者の育成指導に努めるとともに、本年度基金事業で実施いたします結婚相談員制度は、県下七県事務所六十六市町村で実施することにしており、平成三年度には県下全市町村で実施を予定しています。また、県下の市町村、農協、農業委員会で取り組まれている配偶者対策事業とも緊密に連携をとりながら配偶者対策に努めてまいりたいと存じます。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) どこの町村におきましても跡取りの問題が一番問題でございます。県におかれましても配偶者のことについては何かといい案ができますように、心からお願いをする一人でございます。 次に、高齢者の在宅介護問題についてお尋ねをいたします。 生まれ育ったふるさとに抱かれ、喜びも悲しみもしみついた我が家で、家族の温かい看護を受けて生涯を終えたいとは人間共通の願いでもございます。超高齢化社会の福祉の重点事業といたしまして在宅福祉が取り上げられたのも、このような要望にこたえられたものであると思いますが、この中で家庭奉仕員制度が大きな柱となっております。奉仕員さんのおかげで、施設に入らずに我が家で暮らすことができます、ありがたいことですという声を聞き、お年寄りが我が家で福祉サービスを受けたいという希望がかなえられ大変感謝されているところでもございます。しかしながら、在宅介護は、嫁や娘の家庭婦人の献身的な努力や大変な苦労によってその大部分が支えられているのが現状ではないかと思うわけでございます。このような家庭婦人の苦労を少しでも軽減するために、国、県、市町村では、家庭奉仕員の大幅増員やデイサービス事業やショートステイ事業のいわゆる在宅福祉三本柱や、特別養護老人ホーム等の施設の整備に積極的に取り組んでおられるところでもございます。 しかしながら、本県は全国平均よりも十年速く高齢化が進行しているわけでございます。高齢化率が全国平均に達していないのは九十八市町村中わずかに熊本市と菊陽町のみであります。在宅寝たきり老人が四千人以上、ひとり暮らし老人が二万人以上いると言われておるわけでございます。この中に、特別養護老人ホームができたら入所させたいと待っておられる家族が数多くおられ、私が住んでいる阿蘇郡にも特別養護老人ホームは現在二カ所あり、新たに一カ所設置される予定になっておりますが、まだまだ施設が足りない状態で、多くの老人たちが施設への入所を待っておられる状態でもあります。私は、こういった方々のためにも、一町村に一カ所ずつぐらいの特別養護老人ホームはつくれないものかと思っているわけでございます。県では十分検討いたしていただきますように強く要望をしておくわけでございます。 ところで、県ではこういった状況を踏まえ、本年度の家庭奉仕員を二百十三名ふやし五百六十五人とする目標を掲げておられるところでありますが、私は、この目標をぜひ達成するように努力してほしいと思っておるわけでございます。しかしながら、先般の御質問にもありましたように、家庭奉仕員を急にふやすことはいろいろな問題があってなかなか難しいと聞いておりますが、在宅老人の介護を主として支えているのは嫁や娘といった家庭婦人であります。しかし、こういった家庭婦人は、看護の仕方も教わったことはないし、その知識もないのが実情であります。 そこで、私は、こういった家庭婦人に対して、看護の仕方などを泊り込みで教えてやるような制度を設けてやったらどうかと。そうすることによって、家庭での看護技術を身につけると同時に、隣近所に看護を要するような老人がおられた場合は進んで看護の手伝いをするといったようなことにつながっていくものではないかと思うわけでございます。このことについて福祉生活部長の御所見を賜りたいと思うわけでございます。  〔福祉生活部長東瀬偉一君登壇〕 ◎福祉生活部長(東瀬偉一君) 家庭婦人に対して介護の仕方などを泊り込みで教えるような制度を設けてはいかがかという御提案をいただきました。 現在、特別養護老人ホームでは、寝たきり老人を初めて介護するようになった世帯の方が、その御老人と一緒に特別養護老人ホームに泊まっていただき、おむつの交換、食事や入浴の介助の手順や方法など、介護の仕方の実習をしていただくホームケア事業を実施いたしております。そのほか、泊り込みではございませんが、特別養護老人ホームでの家族介護者教室や保健所での家庭看護教室などを開催しているところでございます。また、福祉事務所と保健所が一緒になって開催いたしております福祉祭りなどでは介護コーナーを設けるなど、あらゆる機会を通じまして介護の仕方等についてわかっていただくための取り組みを行っております。 いずれにいたしましても、御提案の趣旨も踏まえ、在宅介護の中心になっていらっしゃる家庭婦人には、介護の仕方等について十分知っていただくための機会をできるだけ設けてまいりたいと思っております。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) 時間が八分ほどでございます。 生涯学習の推進についてお尋ねします。 次に、本県における生涯学習について、教育長にお尋ねをいたします。 科学技術の進展による情報化、国際化、高齢化等、近年の急激な社会の変化に伴い、人生における青少年期だけの学校教育だけでは社会の移り変わりに対応することが不可能な時代を迎えたわけでございます。今後は、学校教育の基礎の上に、県民一人一人が自分の意思と必要に応じて、生涯を通じて継続的に学習をするという生涯学習が必要な状況になったわけでございます。 さて、最近の社会の動きの中で、何よりも身近で重要な問題は高齢化社会への対応ではないでしょうか。人生八十年時代を迎えた現在、人生を豊かで生きがいのあるものとするためには、生涯学習の問題に本腰を入れて推進する必要があると思います。 昨年七月、教育委員会で、熊本県における生涯学習推進の基礎資料とするため、さまざまな実態調査が実施されましたが、その一つ「県民の生涯学習に関する意識調査」の結果を見ますと、三人に二人が何らかの形で学習をしており、また約八〇%の人が生涯学習をしたいと言っております。また、学習内容は、趣味、教養を初め文化的なものから体育的なものが多岐にわたってあるわけでございます。さらに、県や市町村に対する要望として、詳しい情報の提供、相談窓口をつくるなどの情報提供に関するものを求めているわけでございます。 既に御承知のことと思いますが、政府は、このほど生涯学習関係としては初めての「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案」を国会に提出しているわけでございます。その「(目的)」は、「国民が生涯にわたって学習する機会が」「求められている状況」から、「推進体制の整備」「生涯学習に係る重要事項等を調査審議する審議会を設置する等の措置を講ずることにより、生涯学習の振興のための施策の推進体制及び地域における生涯学習に係る機会の整備を図」ることとしています。 このような生涯学習振興のために推進体制の整備等が強く求められている状況の中で、県教育委員会として今後どのように生涯学習を推進しようと考えておられるのか、次の三点についてお尋ねをいたします。 まず第一点は、この生涯学習の高まりの中で、県民の生涯学習に対するさまざまな要求や相談にこたえるために、県行政が一体となって取り組む推進体制の整備が急務であろうかと考えます。特に関係行政機関の生涯学習に関する各種の施策に対する連絡、調整を図る何らかの組織を設置する必要がありはしないかと思います。生涯学習を総合的、組織的に取り組むための生涯学習推進の体制づくりについてどのようなお考えをお持ちなのか。 第二点は、地域の身近な社会教育施設、特に公民館は、生涯学習推進の拠点として、公民館への期待、果たすべき役割も随分と変わってきています。高度化、多様化している人々の学習ニーズにこたえると同時に、新たな学習意欲を喚起するような学習環境の整備や社会教育施設間のネットワーク化を進め、住民の成長と地域社会の発展に寄与する公民館にしていく必要があると思います。そこで、公民館の整備並びに活性化についてどのように考えておられるのか。 第三点は、県内各地においてさまざまな学習機会が提供されておりますが、県教育委員会においては、県立高等学校のうち二十校を指定し高等学校開放講座を実施し、さらには、ことしから新しく高等学校の全日制課程の一部を社会人の勉強の場として提供する聴講制度を三校に導入され、学校が有する人材と施設設備を地域社会に開放して学習機会の提供が図られています。このような地域社会における最も身近な生涯学習の場として学校の施設を開放することは、学校教育についての理解を深めるとともに、地域の教育力を高めることにつながるものであり、大変意義があるものと思われます。この学校開放講座や聴講制度を阿蘇地域の高等学校にも導入する考えはあるのか。 以上、三点について教育長にお尋ねをして、お考えをお願い申し上ぐる次第でございます。 ○議長(北里達之助君) 教育長松村敏人君。──残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔に願います。  〔教育長松村敏人君登壇〕 ◎教育長(松村敏人君) まず第一点の生涯学習推進のためには全庁的な取り組みが必要でございまして、そのための庁内体制、例えば生涯学習推進本部といったようなものの設置及び関係機関との連絡、調整を図る推進会議の設置等について現在検討をしております。 それから、第二点の公民館でございますが、地域で設置します地域学習センターの建設に毎年四十館ずつの補助をいたしております。また、中核となる大型館の整備についても市町村に計画的な整備をお願いをしているところでございます。これら公民館の活性化のため、現在調査研究をいたしておりますが、コンピューターを活用した社会教育施設間のネットワーク化と職員研修の充実に努めたいと存じます。 第三点は、阿蘇地区に開放講座あるいは聴講制度の導入でございましたが、阿蘇地区におきましては、現在小国高等学校でパソコン、それから阿蘇農業高校で食品加工の開放講座を本年度実施する予定でございます。今後とも、阿蘇地域の方々の要望を踏まえながら、開放講座や聴講制度の拡充を図ってまいりたいと存じます。  〔草村照君登壇〕 ◆(草村照君) 最後になりました。少し時間が足りませんが、まあ最後になったわけでございますが、我が高森町のことでございますが、御承知と思いますが、私たち高森町には大変古くからの祭りがあるわけでございます。その風鎮太鼓というのが大変いろいろと話題をまいているわけでございまして、その風鎮太鼓をたたく若者が年々少なくなっているような寂しい思いをするわけでございますが、教育長におかれましては、郷土に本当に高森町に親近感を持つためにも、高校生の方にもこういう指導を、風鎮太鼓の問題につきましても後継者がいないわけでございますので、どうぞ御指導、御鞭撻を賜りますように、教育長に最後に要望をいたしまして、終わらせていただきます。 最後になりましたが、皆さんには長い時間お付き合いをいただきまして感謝申し上げます。特にローカルの阿蘇郡の問題ばかしでございましたが、どうぞ私たちの実情をお酌み取りいただきまして、ぜひ今後とも阿蘇地域の発展のために御協力を賜りますように、心から執行部、また議員先輩の方にお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(北里達之助君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。 これをもって一般質問を終結いたします。      ───────○─────── △日程第二 議案第一号から第十八号まで(委員会付託) ○議長(北里達之助君) 次に、日程第二、目下議題となっております議案第一号から第十八号までにつきましては、さきに配付の平成二年六月熊本県定例県議会議案各委員会別一覧表のとおり所管の常任委員会にそれぞれ付託して審査することといたします。  〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕      ───────○─────── △日程第三 請願及び陳情 ○議長(北里達之助君) 次に、日程第三、今期定例会において本日までに受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。これを所管の常任委員会に付託して審査することといたします。 陳情は、議席に配付の陳情一覧表のとおり所管の常任委員会に付託して審査いたします。 なお、後日会期中に受理いたします請願及び陳情については、議長において所管の常任委員会に付託することにいたしますので、さよう御承知願います。 次に、陳第一六一号を議題といたします。 お諮りいたします。 陳第一六一号は環境対策特別委員会に付託して審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(北里達之助君) 御異議なしと認めます。よって、陳第一六一号は環境対策特別委員会に付託して審査することに決定いたしました。  〔請願文書表及び陳情一覧表は付録に掲載〕      ───────○─────── △日程第四 休会の件 ○議長(北里達之助君) 次に、日程第四、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 明二十一日は各特別委員会開会のため、二十二日及び二十五日は各常任委員会開会のため、二十六日は議事整理のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(北里達之助君) 御異議なしと認めます。よって、明二十一日、二十二日、二十五日及び二十六日は休会することに決定いたしました。 なお、二十三日及び二十四日は、県の休日のため休会であります。      ───────○─────── ○議長(北里達之助君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 明二十一日から二十六日までは休会でありますので、会議は来る二十七日午前十時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第七号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十七分散会...